今年の夏は暑くて、うだるような日が続いていますね。暑さを乗り越えるための工夫にも色々なものがありますが、優雅に涼を取ることができる扇子も大活躍。
今回は、そんな扇子を『フラパージュクリスタル』と呼ばれる技法でデコレーションするアイデアをご紹介したいと思います。
扇子の由来とは?
扇子は1200年前、平安時代初期に生まれました。今とは違い、扇ぐためではなく、和歌を書いたり公式行事の式次第などを忘れないようにメモをする道具として作られました。また、当時は紙が貴重なので、木製の扇に書いていたそうです。
無地は男性が、色や絵が付くようになると女性が装飾のために用いるようになり、その後、木や竹の骨組みの片面に紙を貼るようになりました。
鎌倉時代に中国を経由してヨーロッパまで渡りましたが、扇子は中国で両面貼りになり、逆輸入され、今の扇子の形となったと言われています。
最初は、貴族や神職などの階級にのみ使われていましたが、江戸時代には庶民にも普及し、今では、舞、能、狂言、茶道、落語など多岐に渡り使用されていますね。
フラパ―ジュクリスタルとは
デザインペーパーを好きな形に切って貼り、フラパ―ジュ専用溶剤(特許登録商標)を使ってコーティングし、陶器、木、紙、布、プラスチック、ビニール、竹などに貼り付けます。型紙などは不要で、作業もシンプルで簡単です。その上品な仕上がりはまるで、「焼かないポーセラーツ」「簡単カルトナージュ」とも言われています。
フラパージュクリスタルでは、デザインペーパーを扇子にコーティングした後、タッセルを取り付けたり、スワロフスキーで飾って仕上げます。(特殊溶剤で貼るので、取れる事はありません。)
そうすることで、同じペーパーを選んでもまったく違う扇子が出来上がります。そこが、楽しいのです。
オリジナルの扇子を作ってみましょう
ご自分で使う扇子を世界でたったひとつのおしゃれな物にしたくありませんか?
フラパージュクリスタルの特殊溶剤はレッスンでのみ使用可能ですが、今回はご家庭で気軽に試していただけるように木工用ボンドを使った方法をご紹介します。(ただ、木工用ボンドの場合は黄ばみやすく、剥がれたり、スワロフスキーが取れたりしやすいため、練習用としてお楽しみ頂ければと思います。)
材料
- 無地の白い扇子
- デザインペーパー(北欧、フランス、ドイツなどからのインポートのものは可愛いデザインが多いです。)
- 木工用ボンド(フラパージュクリスタル溶剤の代用として)
- ダブルタッセル
- スワロフスキー
- ピンセット
- パレット
- 筆
作り方
まずは、デザインペーパーの中から好きな絵柄を選びます。
この時に1枚貼りかカット貼りかを考えながら、選びます。最初に扇子に置いてデザインを考えてから貼ると仕上がりがイメージしやすく失敗しません。
1枚貼りとは?
1枚のデザインペーパーを扇子いっぱいに貼りつける事です。
カット貼りとは?
カット貼りとは絵や模様に沿ってハサミでカットして配置をひとつひとつ決めてから貼り付けていく方法です。
1枚貼りの場合
- デザインペーパーをカットします。扇子より少し大きめにカットしておくのがポイントです。
- 扇子を平たく伸ばします。
- 特殊溶剤の代わりの木工用ボンドを、左から右、または右から左の一方向に向かって筆で塗っていきます。一度に全面に塗らず、3分の1ぐらいずつ塗ります。
- 扇子にペーパーを置き、指で押し付けます。
- 塗っては貼り押し付け、塗っては貼り押し付けを繰り返します。
- 乾くまで待ちます。
- 乾いたら扇子からはみ出ている部分を丁寧にカットします。
上下ともに、扇の形に沿ってカットします。
カット貼りの場合
- ペーパーを絵や柄に合わせてカットします。
- 木工用ボンドを、ペーパーを配置する場所に塗ります。なるべくぺーパーからはみ出ないように気を付けます。
- ひとつひとつペーパーを貼り付けていきます。
- 乾くまで待ちます。
デコレーションの方法
- 全体のバランスを見ながら、スワロフスキーを貼る位置を決めます。花柄なら花芯に置いたり、扇子の竹の部分に置いたりします。(※扇子の折れ目にスワロフスキーを置くとたたみにくくなりますのでご注意ください。)
- 最後にタッセルを持ち手の柄の部分に貼ります。ダブルタッセルが、仰ぐたびにゆらゆらして綺麗です。
フラパージュの楽しみ方
フラパ―ジュクリスタル扇子は、たとえ同じデザインペーパーを使用しても、組み合わせ方やデコレーション次第で違うものが完成します。
手作りすると愛情がそこに宿るので、大切に長く使用しようという気持ちが生まれ、結果長持ちします。もちろんプレゼントにもおすすめです。
ぜひ自分らしい扇子で、この夏を乗り越えましょう!