色鉛筆を使った塗り絵は、誰でも気軽に始められるアートのひとつ。最近では、お子さまのお絵描きだけでなく、大人向けの本格的な塗り絵も数多く登場しており、大変人気を集めています。
そんな色鉛筆は、色の重ね方、塗り方次第でさまざまな表現を楽しめるのが魅力です。基本的なテクニックを覚えて、表現のバリエーションを増やしてみてはいかがでしょうか。
今回は、色鉛筆の基本の塗り方やテクニックをご紹介します。塗り絵や色鉛筆画に興味がある方は、ぜひトライしてみてください。
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覚えておきたい色鉛筆の基本テクニック7つ
色鉛筆には基本となる塗り方やコツがあります。これらのテクニックはそれぞれ出せる質感やタッチが違うため、使い分けることで表現の幅がグッと広がりますよ。
①『平塗り』で広範囲をムラなく塗る
平塗りとは、色鉛筆の芯部分が紙に対して水平になるように寝かせて持ち、一定の筆圧で色を塗るテクニックです。広い範囲を塗るときによく使われる塗り方で、やさしいタッチになることが特徴です。
一定方向に塗っていくことで、ムラなく色付けができます。濃い色を付けたいたい場合は、1度に濃く塗るのではなく、何度か重ね塗りするのがポイント。弱い筆圧で塗るのが基本ですが、強弱を付けることで質感を変えることも可能です。
②『ハッチング』で質感を出す
ハッチングとは、線を重ねるように描きながら物体の質感を表現するためのテクニックです。直線に引くだけでなく、曲線を重ねると物体の形を表現することもできます。
また、平塗りで表現することが難しい、「動物の毛並み」や「人の髪の毛」といった繊細な質感を表現できるのもハッチングの特徴です。ただし、芯がやわらかい色鉛筆は線が引きにくいため、硬めの芯を選ぶのがポイントです。
③『クロスハッチング』で濃淡を調節する
クロスハッチングとは、線をクロスさせて、奥行や明暗を表現するテクニックです。一定方向にのみ塗っていくハッチングよりも、縦・横・斜めの方向で線をクロスすることで細かな濃淡を表現できるのが特徴です。
クロスさせる線の数を多くすると「影で暗いところ」になり、線の密度を低くすると「光が当たり明るいところ」を表現できます。
④2つの色を重ねて重厚感を出す
色を混ぜて使うことで、単色とはまた違った深みのある色合いを作ることができます。たとえば、オレンジ色を表現したいとき、単色のオレンジ色よりも、黄色・赤を混ぜて使う方が、奥深い色合いになります。
色数の少ない色鉛筆でもさまざまな色を表現できるほか、塗り重ねる割合や筆圧によっても色が変わるのが色鉛筆の魅力。どんな色になるかを想像しながら、たくさん試してみましょう。
⑤重ねる時は、明るい色・薄い色を先に塗る
④のように2色を重ねるときは、薄い色から重ねるのが基本です。画像のように、同じ色の組み合わせでも、塗る順番によって色合いが変わってきます。
黄色+青の混色をする場合、画像上のように黄色から塗ることでより綺麗な黄緑色になります。画像下のように濁った色を表現するために濃い色から塗る場合もありますが、基本は「薄い色から」と覚えておきましょう。
⑥同系色に補色をプラスしてメリハリを出す
補色とは、相対する色相をもつ色のことです。代表的な色には、「赤と緑」「青紫と黄色」などが挙げられます。
こちらの画像では、黄・赤・オレンジに「紫」を混ぜています。
補色にはお互いの色を引き立たせ合う効果があるため、補色を入れると表現にメリハリが生まれるのがポイント。同系色だけでは単調になってしまう場合や、主役の色を引き立たせたい場合に取り入れてみてください。
⑦同系色でグラデーションを作る
薄い色を塗った後に、重ね塗りで濃さや薄さを出したり、同系色の濃い色を馴染ませたりして、グラデーションを作ることができます。微妙な陰影を表現でき、仕上がりに立体感が生まれるのが特徴です。
画像のように使う色の数によってグラデーションの付け方が変わるので、以下を参考にして挑戦してみてください。
グラデーションの塗り方
- 単色:薄く塗る→濃く塗る→中間を馴染ませる
- 同系色2色:薄い色→濃い色→中間を薄い色で馴染ませる
- 同系色3色:薄い色→中間色→濃い色→全体を薄い色で馴染ませる
色鉛筆でイラストに色を塗ろう
実際に、色鉛筆を使ってりんごとお花のイラストに塗り絵をしてみましょう。先ほどご紹介したテクニックを含めて解説します。
■完成サイズ:A4
■所要時間:1~3時間ほど(個人差があります)
材料と道具
- 塗り絵ができるお好みのイラスト
- 色鉛筆(今回は12色を使用しました。)
たくさんの色数がなくても大丈夫です。少ない色数でも、様々な色の表現ができますよ。
重ね塗りを取り入れた「りんごの塗り方」
- まずは全体を薄い色で塗ります。紙面に対して色鉛筆を水平に当てる平塗りで塗ると、広範囲をムラなく塗ることができます。
- 塗り絵に色を塗る際は、模様の周囲を縁取ることで色がはみ出してしまうのを防ぎ、輪郭がはっきりして見栄えが良くなります。ただし、濃く縁取ってしまうと中の色との濃淡に差が出てしまうため、縁取りをする時は筆圧を弱くして薄く塗ることがポイントです。
- イラストの形を意識して、縦横線を一定に動かして色を重ねていきます。並行な線、クロスの線を組み合わせるハッチングやクロスハッチングで、りんごの立体感を出しましょう。
- 一気に濃くせず、まずは薄く、徐々に濃く塗り込んでいきます。光と影を意識して、どこを濃く(暗く)するか決めて色を重ねていきましょう。
- 濃くしたい所は筆圧を強めて塗り、薄いと濃いの境目(中間)を馴染ませていきます。
- 濃い所には補色である紫を混ぜ、4色で濃淡のあるりんご部分が塗れました。ツヤをつけるとより立体的に見えますね。
- 葉っぱも、まずは基本の薄い色から塗ります。
濃い所を塗り、薄い所との境目を馴染ませるように、色を重ねていきます。
全体のバランスを見ながら塗ると、綺麗に仕上がりやすくなります。
重ね塗りを取り入れて、立体的に仕上がりました。
- 全体の色のバランスを確認して、完成です。
りんごの下に影をつけると、より立体感が出ますね。
混色やグラデーションを取り入れた「お花の塗り方」
- 混色とグラデーションを意識して、お花を塗っていきます。
- 薄い色を全体に塗り、その後濃い色を塗ります。
確認しながら、少しずつ色を重ねるのがおすすめです。
- 中間の境目を薄い色で馴染ませて、青2色のグラデーションになりました。
お好みの仕上がりになるよう、色の濃さを調整してみてください。
- 色を混ぜる場合も、薄い色から塗って濃い色を重ねます。
徐々に立体感が出て、本物の花びらのように仕上がってきます。
- 黄色と赤を混ぜて、単色とは違った深い色合いのオレンジになりました。
- 葉っぱの部分には、薄い色の黄色を全体に塗って、青を重ねます。
緑1色で塗るよりも、奥行きを感じることができます。
- 下の葉っぱは黄緑の単色です。比べてみると、 混色は濃く厚みが出ますね。
- 完成です。7色の色鉛筆だけですが、濃淡や混色によって色数が多く見えて深みが出ます。 いつも使っている色鉛筆でも、少し工夫すればプロのような仕上がりを楽しむことができるでしょう。
絵の雰囲気に合わせて塗り方を変えてみよう
色鉛筆を使った描画は、塗り方や重ね方によってがらりと仕上がりが変わります。今回ご紹介したテクニックは基本となるので、覚えておくと塗り絵の楽しさが広がるでしょう。
また、どのような絵にしたいのか、雰囲気やイメージに合わせて塗り方を考えてみるのも楽しい作業のひとつです。色の重なりや濃淡の表現を工夫しながら、作品づくりを楽しんでみてください。