インテリアショップや雑貨店などでもよく見かけるようになった『ウィービング』。
「ウィービングって、こういうタペストリーの事なの?それとも織物全般の事なの?」と、ワークショップに参加される方によく聞かれます。今回は、『織物』『編み物』そして『ウィービング』とは一体何なのかを解明していきたいと思います。
織物とは?
「織物」のことを、英語でウィービング(weaving)と言います。
織物とは、緯糸(よこいと)と経糸(たていと)を交差させることによって作られた生地のこと。材料は綿、毛、絹など作りたいものによって使い分けられます。
糸をぎっしりと密着させることによって、カーテンやジーンズのような、丈夫でしっかりとした生地を作ることができるのです。顔を近づけてよく見てみると、縦や斜めに繊維の筋が見えると思います。
織物の代表例、洋服・絨毯・キリムなど
織物は、経糸と緯糸の色を工夫することで柄を作ることが出来ます。
例えばこのようなタータンチェックも、織りでできています。
隣り合う色の構成を工夫するだけで実際に使っている色数よりもカラフルに見せることが出来ていますね。
他にも、ペルシャ絨毯は『ペルシャ織り』、キリムは『トルコ織り』と呼ばれる織り方で、複数の色をフリンジの房になる様に織っていくことで細かな模様や絵を作り出しています。
洋服では織りで出来たものを布帛(ふはく)と表現する事があります。縦横に引っ張っても伸び縮みしづらいブラウスやシャツなどは、織りで出来ています。
織物と編み物はどう違う?
織物と編み物も見た目が似ているため混同しがちですが、実は作りが違うのです。
手芸の編み物といえば、皆さんご存知のように毛糸を棒針やかぎ針を使って形作っていくことを言いますね。編み物をしたことが無い方も、針を動かしているイメージは出来ると思います。あれは何をしているかと言うと、ループに糸を通して、鎖のように繋いでいくことで平面に仕立てているのです。
糸をぎっしりと詰めていく織り物とは違い、糸と糸の間に空間が出来るので、ふわっとした柔らかな仕上がりになりやすいです。
編み物(ニット)の代表例は、セーターや靴下など
例えば、セーターは編んで作られています。毛糸を編んでいるのでふっくらと空気を蓄えて暖かさを保ってくれます。
伸縮性が必要なTシャツやスウェット、靴下なども、少し引っ張って伸ばしてみると小さなループが連なっているのが見えると思います。
編み物の場合は、編み込みという方法で色を増やしたり模様を描いたりするので、織物とは模様の出方が異なります。靴下やセーターの色の切り替え部分の裏を見てみると構造がわかって面白いですよ。
近年話題になっている手芸『ウィービング』について
ここまでで、織物と編み物の違いがお分かりいただけたかと思います。
では、近年よく耳にする『ウィービング』とは何でしょうか?
最初にお伝えした通り、ウィービングは本来「織物」を英語にしたものです。ただ、近年手芸・クラフト界で話題になっている『ウィービング』は従来の「織物」とは少し違った特徴があり、英語圏では『ルーム・ウィービング』と呼ばれる事もあります。
ルーム(loom)とはこのような木枠のことで、特に木枠を使った織物のことを最近ではウィービングと呼んでいます。
現代の暮らしの中で楽しむウィービング
昔ながらの織物は、テーブルほどの大きなサイズの機織り機を使うことがほとんどでした。でも現代の暮らしの中では大きな機織り機を置くスペースがなかったり、何ヶ月もかけて作品を作る時間がなかったりと、私たちの暮らしは織物から遠のいていました。
しかし2014年頃から、小さなサイズの木枠の手織物が欧米を中心に注目され始めたのです。自宅で家事や子供の世話をしながらでも趣味として気軽に楽しめるウィービングは世界中にどんどん広まって行き、今では日本、韓国、シンガポールなどのアジア圏でもとても人気のある手芸になりました。
まずはウィービングタペストリーにトライ!
ウィービングをやってみたい!と思われた方は、ぜひタペストリー作りから挑戦してみてください。平面で自由自在に色と素材を楽しむ事ができるタペストリーは、ウィービング初心者の方でも作りやすいアイテムです。
以前の記事で、ウィービングに必要な道具とおすすめの材料について詳しく書いていますので、あわせて読んでみてくださいね。
織物の作り方をワークショップで学ぼう!
一人で作るのは難しい……! まずは体験してみたい! と感じたら、Craftieでワークショップを探してみませんか。専門家によるクラフト体験のワークショップが見つけられます。初心者の方、気軽にものづくりにチャレンジしてみたい方にもおすすめです。