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繊細ないけばな『ミニアチュール』の小さな世界

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いけばなの流派の一つである草月流には『ミニアチュール』というカリキュラムがあります。

いけばなには、作品展などで見る大作だけでなく、極小で繊細なものもあるのです。今回はその小さな世界『ミニアチュール』のお話をします。いけばなを手軽で楽しいと感じて頂き、日常に活かして頂けましたら幸いです。

ミニアチュールとは

ミニアチュールは”Miniature”と書きます。一般的にはミニチュアと言っているのと同じ言葉で、意味を辞書で調べると小模型、細密画、小画像となっています。

けれども、草月流の『ミニアチュール』は通常生けているいけばなの作品をそのまま小さくしたものではありません。花材を良く観察し、素材の特徴や性質を活かして生けるという点では通常の大きさの作品と同じですが、ミニアチュールの場合はもっと花材の細部をクローズアップし、それらの作品をいくつか組み合わせて独特な世界観を創り出します。

花材:左からハイブリッドスターチス、フトイ、ガクアジサイ、アジサイ、リョウブ、オンシジューム、アルストロメリア

草月流いけばな『ミニアチュール』の歴史

草月流の極小で繊細ないけばな、ミニアチュールは、二代家元の勅使河原霞が独自の作風として確立したものの一つです。草月流のカリキュラムにもなっていて、テキスト5に登場します。(草月流いけばなはテキスト1から学びます。1を終了すると4級となります。)

テキスト5は終了すると師範になれるという時期ですので、そこに出てくるミニアチュールは奥の深いものではありますが、少しの花材と時間があれば作品が出来ますし、何よりもやってみると無限のパターンがあり楽しいものです。いけばなが手軽で楽しいと思うきっかけになるかもしれません。

ミニアチュールの花器

ミニアチュールの花器にはその名の通り小さな器を用いますが、では、どの位小さな器だと思いますか?

縦+横+高さが10cm程の大きさです。いわゆるヤクルトの容器では大きすぎます。素材はどのようなものでも良く、陶器、ガラス、プラスチック、銅版など、水を入れて溜めておくことが出来ればOKです。小さな食器、香水瓶、ビーズ等が入っていた瓶、口紅のキャップ等、または、プラバン、銅板、陶芸等で手作りすることもできます。

ミニアチュールの作品の生け方 

はじめに、ミニアチュールは通常のいけばなの作品をそのまま小さくしたものではないと申し上げました。

これはミニアチュールの作品の一部ですが、何という花のどの部分か分かりますか?

では、これは何でしょうか?

最初の写真は、カーネーションの花びらと葉です。

2番目の写真はアルストロメリアのめしべ、おしべ、つぼみ(右から順)です。

このようにミニアチュールは花びら、めしべ、おしべ、つぼみ、つる、実、葉などをクローズアップし、スポットを当てます。そしてこれらの小さな作品を5~6個くらい作り、並べます。

下に敷くものも、布、紙、板など様々な素材が考えられますし、並べ方も一列に並べたり、長方形の敷物にバランスをちょっと変化をつけて並べたりします。置く位置もいろいろ試してみると微妙な表情の違いにお気づきになるでしょう。

花材のつるや茎の先端などは少し長めに使うと動きが出ます。動きや流れを出すように意識すると良いでしょう。

花材:(左上)千日紅、トルコキキョウ(左下)カーネーション(中)アルストロメリア(右上)リンドウ、ハイブリッドスターチス(右下)アルストロメリア

ミニアチュールの花器を作ってみよう!

ミニアチュールの花器を自分で作ると、イメージ通りの作品にすることが出来たり、花器に愛着も湧きます。

プラバンや銅板などでも出来ますが、今回はオーブン陶土で作る花器をご紹介しましょう。家庭用のオーブンで焼くことが出来るので手軽な上、色も白、茶、赤茶、黒など豊富で、陶芸の作品に似た質感を出せます。

材料

  • オーブン陶土
  • カッター
  • ヘラ
  • 紙ヤスリ

作り方

  1. 成形します。
    オーブン陶土を適量とり、作りたい形に成形します。オーブン陶土が硬い時は水を少しずつ加え、耳たぶ位の柔らかさにします。
  2. 乾燥させます。
    作品の大きさ、厚さ、季節や湿度にも依りますが、1~3日位乾燥させます。表面全体が乾いて白っぽくなれば良いでしょう。
  3. 焼成します。
    オーブン内の皿にアルミホイルを敷き、その上に作品を置きます。温度は160℃~180℃で、作品の大きさに依りますが、ミニアチュールの花器ならば、30分程度で焼き上がります。表面に点々の模様が現れ、見た目が変わるので分かります。
  4. 完成!
    紙ヤスリで削って形を整え、完成させます。

きっと誰しも花瓶に飾っていた花が一輪、また一輪と咲き終わり最後に残った一輪を、あるいは花冠が折れてしまった一輪を小さな器に挿した経験があるのではないでしょうか?それらをいくつか組み合わせてミニアチュールの世界を楽しんでみて下さい。

さあ、今日はどの花のどの部分にスポットを当てようかな?

花材:(左上)バジル(左下)アゲラタム、トルコキキョウ(中)千日紅、かすみ草(右上)ユキヤナギ、アルストロメリア(右下)アルストロメリア、ハイブリッドスターチス

この記事を書いた先生の教室

ルミ 花の教室
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ライター

倉田留美
倉田留美
花のある暮らしをもっと手軽に楽しく。いけばなとフラワーデザインのアイデアを提供いたします。Craftie登録講師。