リンドウの花をご存じでしょうか?
よく知っているよと言う方もいれば、どんな花だったかな?何色があったかな?いつ頃咲くの?と首をかしげている方もいらっしゃると思います。
そう、これがリンドウです。今回はリンドウにスポットを当て、リンドウを使ったフラワーアレンジメント、生け花、飾り方、贈り方のアイデアをご紹介したいと思います。
リンドウとは?
リンドウの花色は他に紫、ピンク、白、青と白の混ざったもの等があります。自然開花時期は9月~11月で、秋を代表する多年草の花です。
リンドウ科リンドウ属、アフリカを除く亜寒帯から熱帯山地原産です。根は漢方の『ゲンチアナ』として広く使われています。
漢字では「竜胆」と書きます。竜胆と書くのは、熊の肝よりも苦いので熊より大きい竜の肝、竜胆となったようです。
リンドウを使ってアレンジメントを作成してみましょう
フラワーアレンジメントはジオメトリックフォーム(幾何学的な形)が基本型になっています。その一つであるトライアンギュラースタイル(三角形)でアレンジしてみましょう。
アレンジに入る前に、『生花をきれいに長持ちさせる方法』でご紹介した方法でしっかり処理をしておくとお花が長持ちします。
花材
- リンドウ 4本
- ユリ 1本
- クルクマ 2本
- スプレーマム 2本
- ハイブリッドスターチス 2本
作り方
- 花器にオアシス(吸水性スポンジ)をセットし、面取り(オアシスの角をナイフで落とします。)をします。茎を挿し易くする為です。※オアシスは花と一緒に生花店で購入できます。
- ユリを正面中央に挿します。この花をVisual Focal Point(視覚上の焦点)と言います。この時、ユリが短くなりすぎないようにします。短いと、横から見た時に厚みのない作品になってしまうからです。
- 高さの花(ユリのつぼみ)を15度後ろに傾けて挿します。
- 横の花(リンドウ)を挿します。横の花は手前から斜めに挿すのではなく、真横から挿します。高さの花、横に入れる花の長さが長いと大きな作品、短いと小さい作品になります。高さの花、横の花の三点を結んだ三角形に収まるようにリンドウ、クルクマ、スプレーマムを挿していきます。Visual Focal Point(視覚上の焦点)の下にも花を挿します。
- 最後にハイブリッドスターチスをふんわり挿して完成です。スターチスが短いと他の花に埋もれてしまうので、短くなりすぎないようにしましょう。
横から見るとこのようになります。
花言葉と、贈り物としてのリンドウ
青と白の二色のリンドウは『白寿』と言う名前です。(「百」という漢字から「一」の棒を引くと「白」という漢字になることから、長寿のお祝いで99歳は白寿と言います。)
リンドウは敬老の日のお祝いに人気がある花の一つだそうで、敬老の日の花の贈り物でリンドウが選ばれるのには、いくつかの理由があるようです。その理由は、
- リンドウが秋(敬老の日の頃)に咲く代表的な花の一つだから。
- リンドウの代表的な色の紫は高貴な色だから。(飛鳥時代の冠位十二階で紫は最高位の色でした。)
- リンドウの根は漢方として貴重なものだから。
- 花言葉の「勝利・誠実・正義・あなたの哀しみに寄り添う」というところから。
花が上を向いているところが花言葉の「勝利を確信している」という意味合いになったり、ちょっと悲哀を感じさせる「あなたの哀しみに寄り添う」というのは、リンドウが群生せず一本ずつ咲く姿に由来しているようです。
これらの事を知らなくても、リンドウの茎が真っ直ぐに伸びているところ、すべての花が上を向き、凜としている姿は品があり、高貴な花という印象を受けます。
敬老の日に贈るリンドウ
はじめのトライアンギュラースタイルと同じ花材をプレゼント用のバスケットのアレンジメントにしてみました。
バスケットの中に二色の不織布を重ねて敷き、その上に透明なセロハンを重ねます。高さの花をトライアンギュラースタイルの時よりも低くし、オーバル(楕円形)のような形に仕上げました。普段面と向かっては恥ずかしくて言えない言葉も、カードにメッセージなら書けそうな気がします。こんな風に。
「おばあちゃん、いつまでも元気でいてね。もっとお料理教わりたいから。」
「いつも助けてくれてありがとう。」
「そばにいてくれるだけで安心なんだ。」
病気の方には鉢物は根付く=寝付くとなって縁起が悪いので避けた方が良いとされています。
なにはともあれ一番大切なのは贈られる人の気持ち。もし、好きな花、色がわかっていたら、それを取り入れるのが最高の贈り物になります。
初秋の生け花に
初秋のまだ暑い日にはこんなガラス花器に秋をアレンジしてみてはいかがでしょうか。ガラスの花器にたっぷりの水が主役。涼をお届けします。そして、リンドウと花器の模様のようにもみじの葉が秋の訪れを告げています。
使用した花材は、リンドウ、もみじ、ニューサイランです。
リンドウに、きいちごと真っ赤なケイトウを合わせました。
こちらで使用したのは、野バラ、ヒペリカム、リンドウ、アンスリウム、カーネーションです。
リンドウの花束
徐々に深まりゆく秋、風も次第に冷たくなってきたら、こんな深紅のガーベラを合わせると心を温めてくれそうです。リンドウ、ガーベラ、ケイトウ、カーネーション、ソケイ、ドラセナをそれぞれの種類ごとにまとめて花束にしました。不織布で包み、リボン等で結びましょう。
リンドウの自然開花は9月~11月ですが、市販時期は5月~11月と比較的長期間。そして色も白、ブルー、ピンク、紫と豊富なので、パステルカラーのアレンジメントや涼しげな生け花、また、白いリンドウと合わせれば、クリスマスのデザインもでき、様々な場面を演出できます。まるで主演も助演も、どんな役にも対応できる女優のような花、それがリンドウです。