梅雨の季節になりました。雨が似合うのはなんと言っても紫陽花(あじさい)。雨に濡れ、葉に雫がキラキラ光っている紫陽花は風情があって絵になりますね。
紫陽花は日本の風土にも適しているのと、あまり手間がかからないので、ご家庭で育てている方も多いのではないでしょうか?ご自宅に植えていなくても、切り花を戴くこともあると思います。
今回は、花材としての紫陽花を取り上げ、この時季ならではの紫陽花の扱い方、飾り方、紫陽花をメインにしたいけばな、フラワーアレンジメント、プリザーブドフラワーのリースやアレンジメントをご紹介いたします。
紫陽花(あじさい)の種類
紫陽花の花に見える部分は、実は萼(がく)なのです。紫陽花には外側一周だけ大きな萼がついている平らな形のものと、ドーム状に全体に大きな萼がついたものがあります。前者が『がくあじさい』で、後者が『あじさい』又は『ほんあじさい』です。がくあじさいが紫陽花の原種と言われています。日本固有のがくあじさいが西洋で品種改良されて日本に逆輸入されました。『西洋あじさい』、『ハイドランジア』などとも呼ばれています。『かしわばあじさい』は北アメリカ原産です。
紫陽花にもばらのように、ミスヘップバーンやホワイトダイヤモンド、ピーチ姫等、品種改良されて素敵な名前がついているものがあります。興味がある方は調べてみると楽しいかもしれません。
あじさいの季節には花屋さんにも新しい品種のあじさいの鉢植えが並びます。徐々に色が変わっていくものもあります。
紫陽花をきれいに保つための水揚げ
紫陽花は水落ちしやすい(しおれやすい)と言われていますので、活ける時は最初にしっかり水揚げしておくことが重要です。※水揚げの必要性や方法については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
水揚げの一番簡単な方法は水切りで、水を深く張ったバケツの中で茎を斜めにハサミでカットし、そのまましばらく水につけておき、しっかり水揚げします。
また、ハンマーなどで茎の切り口を軽く叩いて吸水面積を広げることで水を吸い上げやすくします。この時、強く叩き過ぎないようにし、繊維を出すように叩きます。水切りした後、切り口に焼きミョウバンをつけるのも有効です。
葉が多すぎると葉から水分が奪われ、水落ちの原因になりますので、葉を落として少なくしておくこともポイントです。
紫陽花の美しさを引き出す飾り方のポイント
紫陽花のみで花瓶に挿しても素敵です。でも、少しだけ工夫するとさらに素敵に見せることができます。
例えば花瓶を使う場合、そのまま花瓶に挿すとこのように花瓶の口元が窮屈な感じになってしまいます。
そこで、下の写真のように花の位置をずらし、花の高さに変化をつけてから紐で縛って固定し、その後に花瓶に挿すと花瓶の口元もすっきりし、素敵に仕上がります。
花器の口元の変化に注目してみてください。
紫陽花をメインにした生け花
紫陽花はドーム状に花がつき、こんもりとしているので、コンポート(足のある花器)に低く活け、ニューサイランのようなシャープな花材と合わせると簡単で素敵に活けられます。
ニューサイランは中央に切り込みを入れ、茎の根元をそこに通してひっくり返すと上の写真のようになります。
また、高さのある花器にサンキライのような蔓(つる)ものを垂らして流れを出すと素敵です。紫陽花と同じように丸い手毬草と、軽やかさと動きを出す為にスターチスを組み合わせています。
花束やブーケにする時は紫陽花のみにするか、紫陽花が丸くてボリュームがあるので細長い花材を組み合わせると良いでしょう。
あじさいの葉はみずみずしくきれいなグリーンなので、水羊羹などの和菓子を載せたり、お料理に添えたくなりますが、誤って食べて嘔吐やめまいの症状が出たという症例がありますので、食用にはしない様注意してください。
紫陽花のプリザーブドフラワー
プリザーブドフラワーの紫陽花は、生花を薬品で一度脱色し着色してありますので色が豊富で、自然の色には出せない黄色やオレンジ色等もあります。
リースやフラワーアレンジメントを作製する上で、色合わせや空間を埋めるのにとても重宝な花材です。