布のほつれを防止するために、布の縁を巻き込むように縫うかがり縫い。
ミシン縫いの作品などでは縫い目が裏に隠れる仕上げ方が多いものの、手縫いの場合はあえて縫い目を布の表に出し、デザインの一部にするなど、作品作りに彩りを添えてくれる技法です。
今回はかがり縫いの特徴から綺麗に縫う方法まで、紹介していきます。
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かがり縫いとは?
裁断した布は、端から糸くずが出てきたりほつれてきたりするので、始末をする必要があります。
かがり縫いは、そんな布の端のほつれを防止するための縫い方のことを指します。
ほつれ防止に使用する以外にもやぶれた布の補修にかがり縫いをしたり、ぬいぐるみを作成する際の綿入れ口を閉じるとときにも使います。
フェルトを使った作品作りをする際の縫い合わせにも、手縫いのかがり縫いを使用します。
手芸を楽しむ際には必須ともいえるかがり縫いですが、手縫いの場合は巻きかがり縫いやブランケットステッチ、ミシンを使った場合はかがり縫い(裁ち目かがり)、ジグザグステッチとその手法はさまざまです。
針と糸を選ぶポイント
かがり縫いは縫い目が見えているので、布の色との組み合わせを考えながら糸を選ぶとよいでしょう。
また、あえて布と色の違う糸を使うことで、見せる縫い目としてデザインの一部にする方法もあります。
また、糸の太さは、布の厚みに合わせます。
薄手の布を使う場合はやや細めの糸、フェルトや厚手の布を使う場合は素材も綿やポリエステルとの混紡糸を使うと、しっかりとした縫い目になります。
針の選び方は、薄手の布に対してはメリケン針の9号、厚手の布に対してはメリケン針6〜7号あたりを選ぶと縫いやすいでしょう。
かがり縫いに慣れてきたら、「かがり縫いの存在感を出したいから少し太めの糸にしよう」「繊細な感じに仕上げたいから細めの糸で作ろう」など、ご自身の感覚で使い分けてみてくださいね。
巻きかがり縫いの仕方【手縫い】
布の表面から見たときに縫い目がやや斜めになるように縫っていくのが巻きかがり縫いの特徴です。
厚手の布の場合は布の端をそのままかがり縫いをしても問題ありませんが、薄い布の場合、少し縫いにくいので細い3つ折りにして軽くアイロンをかけてから作業をするとスムーズにかがり縫いができます。
縫い方
- 2枚の布を合わせたら、布と布の間に針を刺して玉結びを隠します。
その際糸が出てきた側の布を裏、反対側を表とします。
- 糸が出ている裏から、表の少し斜めの位置から針を刺すようにして裏側に貫通させます(すると布の端に糸が巻きついているようになります)。
表の斜めに刺す、を繰り返します。
- 縫い終わり位置まできたら、布と布の間に結び目が来るように玉結びをします。
こうすると、表から結び目が見えません。
ブランケットステッチの仕方【手縫い】
ブランケットステッチはひと針ずつ、針に糸をかけながら縫っていく縫い方です。
巻きかがり縫いとの違いは、縫い目が垂直であること、布の端を糸で縁取っているような仕上がりになることです。
縫い方
- 布の一辺の中心から針を出します。その際は布と布の間から針を刺しましょう。
針が出てきた側の布を表、反対側を裏とします。 - 針が出た場所から水平に数mm左側のところで、表から裏へ針を刺します。その際、フェルトから出ている糸を右から左へ針の下に置いておき、針を引き抜きましょう。
- 2を繰り返します。繰り返す際のポイントは、針を刺す位置です。水平にに移動する幅と、布の端からの縫い位置(長さ)を常に均等にすると美しいブランケットステッチになります。
- 角まで縫えたら、最後に刺した針の位置と同じ場所で、針を表から刺して左に針を出します。その際、今までと同じように糸を下にしましょう。糸を引く時に強く引きすぎずに、角に添うように糸を渡します。きつく引くと端が崩れるので注意しましょう。
角が縫えたら2の工程を繰り返します。
- ぐるりと一周したら、針を最初のステッチにくぐらせます。
- 空いている裏側のステッチも刺します。その際、布と布の間から針を出し、布の間に玉結びを作ります。
- 布の間に針を刺して裏側の適当な場所から出しましょう。
糸を少し引き出しながら出ている糸の根本をカットします。こうすると糸の端が布の中に入るので始末が楽です。
ジグザグステッチ【ミシン】
布で作るお洋服や小物で、裏布を付けずに作る作品の、生地の端には必ずジグザグステッチか、この次に紹介するかがり縫い(裁ち目かがり)をかけるようにします。
生地の端がほつれてこないようにするための始末です。ほとんどの家庭用ミシンに付いていて、手軽に端を始末できる方法です。
ジグザグ縫いでは直線縫いと同じように、基本の押さえを使用して縫っていきます。
ジグザグステッチは、ほつれの始末だけでなく、模様縫いにも最適なのでぜひ試してみてください。
縫い方
- かがりぬい押さえの右端のガイドに生地の端を合わせます。針は、生地の外側に出る位置がベストです。
かがりぬい押さえを使ってジグザグステッチをかける場合は、返し縫いはいりません。
- 生地の端がジグザグステッチで始末できました。
写真左側は、普通押さえ(直線縫い押さえ)を使用してジグザグステッチをかけてみたものです。
糸がひきつれてしまい、きれいにステッチがかかっていません。写真右側は、かがりぬい押さえ(裁ち目かがり押さえ)を使用してジグザグステッチをかけたものです。
糸がしっかりと生地の端をくるんでいるので、ほつれにくくなっています。
このように生地の端に「かがり縫い押さえ」で「ジグザクステッチ」をかけて、端をほつれないよう始末する方法にはさまざまな言い方があります。
- ジグザグステッチで端を始末する
- 端にジグザグミシンをかける
- 端始末をする
など、すべて同じ意味なのです。
かがり縫い(裁ち目かがり)【ミシン】
かがり縫いは、「かがりぬい押さえ(裁ち目かがり押さえ)」と呼ばれる押さえを使う縫い方です。
※かがり縫い押さえの写真
ジグザグステッチと違いより細かくステッチが入るため、生地がほつれにくくなります。織り目の粗い麻や、ウールの生地に使うと良いでしょう。
また、ジグザグミシンよりも糸を使う分量が多くなるので、糸は多めに用意しておくのがおすすめです。
一般的なミシンには標準設定「かがり縫い(裁ち目かがり)」が搭載されていますが、安価なものやミシンの種類によっては設定がない場合もあるので確認しておきましょう。
縫い方
- かがりぬい押さえの右端のガイドに生地の端を合わせます。針は、生地の外側に出る位置がベストです。
かがりぬい押さえを使ってかがり縫いする場合は、返し縫いはいりません。
- 生地の端がかがり縫いで始末できました。
写真左側は、普通押さえ(直線縫い押さえ)を使用してかがり縫いをかけてみたものです。糸も生地もひきつれて、きれいにステッチがかかっていません。
写真右側はかがりぬい押さえ(裁ち目かがり押さえ)を使用してかがり縫いをかけたものです。
糸がしっかりと生地の端をくるんでいて、縦方向にもステッチがかかっているので、ジグザグミシンよりしっかりと生地を押さえてほつれにくくなっています。
このように生地の端に「かがり縫い押さえ」で「かがり縫い」をかけて、端をほつれないよう始末する方法にはさまざまな言い方があります。
- かがり縫いで端を始末する
- かがり縫いをする
- 端始末をする
など、すべて同じ意味なのです。
綺麗なかがり縫いのコツ
手縫いのかがり縫いを綺麗に仕上げるコツは、糸と糸の間を等間隔にすることです。針目がそろって綺麗に仕上がります。
その際に縫い目をまっすぐにすることも重要。初心者さんで自信がない場合は、チャコペンで下書きをしてその上をきっちりと縫っていくと真っ直ぐに縫うことができますよ。
ミシンのかがり縫いを綺麗に仕上げるコツは、かがりぬい押さえ(裁ち目かがり押さえ)にきちんと付け替えること。
ジグザグミシンは普通押さえでも一応縫えますが、糸が引きつれてしまいます。
かがり縫いが映えるフェルトのマスコットの作り方
手縫いのかがり縫いの縫い方が分かったら、ぜひ作品を作って実践してみましょう。
ここではかがり縫いが映えるフェルトのうさぎのマスコットの作り方を紹介します。
顔の周りにかがり縫いの縫い目が見えて、手作り感のある温かみのある仕上がりになります。
綿入れ口をふさぐ際にもかがり縫いを使用するので、かがり縫いの練習用作品にピッタリ。ぜひ作ってみてくださいね。
かがり縫い以外にも覚えたい様々な縫い方
手縫いにはかがり縫いの他にも、目的や生地、縫う場所に応じたさまざまな縫い方があります。
基本の縫い方を覚えると作品作りのバリエーションも広がります。ぜひ様々な技法をマスターして作品作りに生かしてくださいね。
ミシンでも手縫いでも重要なかがり縫い
あえて縫い目を生かしたかがり縫いは、ミシンの場合は布の端始末として主に活用される縫い方ですが、手縫いの場合は仕上がりのステッチを生かした、温かみのある作品作りにも役立つ縫い方です。
手縫いとミシンとでは同じ名前の縫い方でも、使う目的や仕上がり方が大きくことなります。
作品によって手縫いにするかミシンを使用するか、レシピなどをきちんと確認して使い分けてましょう。
針や布、糸の色バランスを考えたりと、デザインの幅も広がるので、ぜひかがり縫いをマスターしてくださいね。