マフラーや手袋、ニット帽などの作成に用いられる棒針編み。
日本では、記号を使った「編み図」で編み方が説明されますが、海外の「パターン(pattern)」は編み図記号ではなく文章で編む手順が説明されているとご存知でしたか?
編み図は読めなくてもOK 英文パターンで編み物に挑戦しよう
編み物経験者だと、海外の本を買ってみて「編み図が載っていない!」とびっくりした、という方もいるかもしれませんね。
英語でパターンを読む、と聞くと難解なイメージがあるかもしれませんが、実は「記号を使った編み図は難しいけど、英文パターンの方が簡単に編むことができた!」という声もよく耳にするのです。
また、英文パターンが読めるようになると、インターネットや書籍を通して世界中で公開されている様々な編み物作品にチャレンジできるようになります。
使う語彙はとても限られているので、英語が苦手な方でも大丈夫。編み図が読めない初心者さんも、英文パターンで編み物に挑戦してみませんか?
今回は入門編として、最初に覚えたい英文パターンの記号を説明しながら、それぞれの編み方を解説します。
まずは編み物に必要な材料と道具を用意しよう
材料
毛糸(並太の毛糸は初心者の方でも扱いやすいです)
道具
- 棒針(毛糸のラベルで指定されている太さのもの)
- ハサミ
- とじ針
英文パターンで使われる基礎単語
まずは編み物関連の単語をご紹介します。
編み物関連の単語
- 編み物 knitting
英語でknittingといえば、「棒針編み」のことです。 - 編み図 pattern
日本のような記号を使った編み図ではなく、編み方が書いてある文章のことをpatternといいます。無料のpatternが知りたいときは”free pattern”と検索すると、いろいろなpatternが見つかるはずです。 - 編み目 stitch
1つひとつの編み目のことはstitchと呼びます。 - 段 row
日本語で1段、2段と数える横1列分の編み目はrowと呼ばれます。
基本の編み方
それでは、次に基本の編み方をご紹介します。
Cast On(作り目)
作り目とは、棒針の上に編み目を作ることです。編み物は作り目から始まります。
英語ではcast onと書かれ、“cast on ◯◯ stitches(◯◯目作り目をしなさい)”のように使われます。たとえば、“cast on 15 stitches”とpatternに書いてあったら、15個作り目をします。
ここでは針に直接目を作る作り目をご紹介します。
Cast Onの手順
- まずは1つ目の目を作るための作業です。短い方の糸の端から、作りたい作品の幅の3倍程度の長さの位置に輪を作ります。
- 先ほど作った輪に糸を引き入れ……
- 結び目を作ります。これが1目です。
- 最初の1目を棒針に、短い糸の側が手前側になるように通します。(初心者の方は作り目がきつくなりがちなので、最初は2本重ねにした棒針でチャレンジするのがお勧めです。慣れてきた方はご自身の目の様子に合わせて、目がゆるすぎたら1本にしたり、編む針よりも細い針の2本重ねで作り目だけ作ったりと、調整をしてみましょう)
- 短い方の糸が親指側に来るように、写真のように毛糸を左手にかけます。
- 写真のように、中指薬指小指の3本指で、糸を握るようにかまえます。親指と人差し指に、それぞれ毛糸の輪がかかっているような状態です。これが基本のかまえです。
- 親指の毛糸の輪に、針をしたから通して引っ張ります。このとき、輪が親指から抜けないように注意してください。
- 次に、人差し指の輪に、針を上から通して引っ張ります。このときも、輪は人差し指から抜けないようにします。
- 今度は親指の輪に、上から針を通します。
- 親指と人差し指にかかっている糸を指から外します。
- 糸の両端を引っ張って引き締めます。これで2つ目の目ができました。
- 5〜11の工程を繰り返し、必要な分だけ作り目をします。写真は15個作り目をしたところです。
k(=knit、面編み、メリヤス編み)
棒針の編み方はすべて面編みと裏編みの応用といっても過言ではありません。
英文パターンでは面編みはknit、裏編みはpurlと呼ばれ、それぞれ“k”、“p”と省略して書かれます。
たとえば、“cast on 15 stitches”で15個作り目をしたあと、“k15”と書かれていたら次の段は面編みを15個するということ。つまり、作り目のあとの1段目はすべて面編みということになります。
では、実際の編み方を見ていきましょう。
k(=knit)の手順
- 左手に写真のように、糸玉につながっている方の毛糸をかけます。
- 手に毛糸をはさんだまま針をかまえます。このとき、人差し指にかかっている糸は針の後ろ側に通っています。
- 左の棒針にある最初の目の左側から、右手に持った針の先を通します。
- 左手にかかっている糸を、右の棒針ですくい上げ…
- 3で通した目の外にかけた糸を引き抜き、新しいループを作ります。
- 左の針から、3で針を通した目を落とします。これで1目編めました。
- 3〜6を繰り返します。
p(=purl、裏編み、裏メリヤス編み)
裏編みは、裏から面編みを編む編み方です。裏編みの編み目を裏返すと、表編みと同じ編み目になっています。棒針ではこの表編みと裏編みの組み合わせて様々な模様を出しています。
英語ではpurlといい、“p”と省略されます。
実際の英文パターンではこのように書かれます。
Cast on 15 stitches.
Row 1: k15
Row 2: p15
このように書かれていたら、15目作り目、次の段は全部面編み、その次の段は全部裏編みとなります。
では、実際の編み方です。
p(=purl)の手順
- 左手への糸のかけ方は面編みのときと同じです。今度は、人差し指にかかっている糸は針の前側に通っています。左の針にある1つ目の目の右側から、右手の針を通します。
- 左手の人差し指にかかっている糸を右手の針ですくい……
- 1で通した目から糸を引き抜き新しいループを作ります。
- 1で針を通した目を、左の針から落とします。これで1目編めました。
- 2〜4を繰り返します。
基本の編み方で、作品作りにチャレンジ!
今回扱った基本の編み方で、マフラーなどの作品にチャレンジすることができます。
難しそうに見える模様も、実はknitとpurlの組み合わせのみという場合も多いんです。
編み終わりの処理の仕方については、次回の減らし目編でご紹介します。ぜひお気に入りのパターンを見つけて、棒針編みにチャレンジしてみてくださいね。
ワークショップで編み物をやってみよう!
一人で作るのは難しい……! まずは体験してみたい! と感じたら、Craftieでワークショップを探してみませんか。専門家によるクラフト体験のワークショップが見つけられます。初心者の方、気軽にものづくりにチャレンジしてみたい方にもおすすめです。