秋冬に楽しみたいオシャレといえば、ふわふわのニット小物。手編みのマフラーや帽子を自分で作ってみたいという方も多いのではないでしょうか。そして、挑戦したいけど編み物なんて難しそう…と思っている方も多いはず。でも一度基本の編み方さえマスターしてしまえば、初心者さんでもいろいろなニット小物が作れます。マフラーやセーターを作るのも夢ではありません。今回は、初心者さんが知っておきたい基本の「メリヤス編み」の編み方をご紹介します。
編み物の基本「メリヤス編み」とは
「メリヤス編み」は、編み物をするうえで最初にマスターしておきたい基本の編み方のひとつ。一度覚えてしまえば、編み方自体はそう難しいものではありません。ヨコ方向に伸縮性があり凸凹がないため、「平編み」という呼ばれ方をすることもあります。
メリヤス編みの特徴は、網目が均一で、厚みのある仕上がりになること。しっかりとした編み地で厚みが出やすいので、小物類だとバッグやボトルカバー、マットなどに適しているほか、防寒具にもぴったり。やわらかい毛糸でセーターやマフラー、スヌードなどを作るのもおすすめです。
メリヤス編みに必要な道具と材料
編み物初心者さんは、まずは道具を揃えるところから。基本的に必要となるのは、編み針・編み糸・とじ針の3つです。
編み針
編み針は使用する編み糸に合わせて選びましょう。編み糸に巻かれている帯に、目安の編み針の号数が記載されています。作りたいアイテムに合わせて、編み針の形状や本数を選びます。たとえばマフラーなど平面に編む場合は、片側にストッパーの役割をする玉付きの編み針を2本使い、帽子のように筒状に編んでいくときには、両側が細い編み針を4、5本使います。
編み糸
編み糸は、作りたいアイテムに合わせて選びましょう。編み物用の糸、いわゆる「毛糸」は素材も太さも種類が豊富にあります。それぞれ仕上がりサイズ、風合い、そして編みやすさにも違いが出てきます。編み物初心者さんの場合は、いちばん編みやすい太めのストレート糸から始めるのがおすすめです。
とじ針
とじ糸は、仕上がった「編み地」をとじ合わせる時に用いるものです。針穴が大きく、先が丸い形状をしているのが特徴の針です。糸の始末をするときに便利な道具のため、用意しておきましょう。とじ針にもサイズがあり、これも編み糸に合わせて選ぶ必要があります。
メリヤス編みの表目と裏目
メリヤス編みとは、表目と裏目の2種類を交互に編んでいく編み方です。「表編み」「裏編み」という言い方をすることもあります。2種類の組み合わせ方によってさまざまな編み方へと応用できるので、まずは表目と裏目をしっかりマスターしましょう。
メリヤス編みをするときは、奇数段で表編み、偶数段で裏編みをします。1段ずつ交互に編んでいくことで、表と裏の模様が異なって表れます。
メリヤス編みの編み地の表目と裏目は、次のようになります。
■表目
表目は、網目がタテ方向に流れています。
■裏目
裏目は、網目がヨコ方向に流れています。
【基本の5ステップ】メリヤス編みに挑戦しよう
メリヤス編みにはフランス式とアメリカ式がありますが、今回はフランス式の編み方を見ていきましょう。編む方法や手順はどちらも同じになりますが、編み糸の持ち方が異なります。
【ステップ1】作り目を編む
まずは「作り目」を編みます。作り目とは、編み始めの最初の1段のことです。フランス式なので、左手の指に編み糸をかけて、作り目をした針を持って編み進めます。
編み方
- 作りたいアイテムの幅の3.5倍程度の長さのところで輪を作ります。
- 輪から糸を引き抜きます。
- できた輪に針を2本通して引き締めます。
- 右手は棒針2本を持ち、左手は親指に短い糸、人さし指長い糸をかけて、残り3本の指で2本の糸を握ります。
- 親指の糸、人さし指の糸をすくって、親指の糸の輪にくぐらせます。
- 親指を外し、手前の糸を親指にかけて引き締めます。
- 糸を引き締めながら親指を開きます。
- 5~9を繰り返して必要な目数を作り、針を1本引き抜くと作り目の完成です。
【ステップ2】裏目(2段目)を編む
作り目が最初の1段目であり、表目となります。メリヤス編みでは表目・裏目を交互に編んでいくので、2段目は裏目です。「奇数段は表目」「偶数段は裏目」とはじめに覚えておくと、スムーズに編み進めることができるでしょう。
編み方
- 左手の人差し指に玉側の糸をかけて、薬指と小指の間に挟みます。
- 人差し指を軽く立てて、右側から右端の1目に針を入れます。
- 人差し指にかかっている糸を、右針に引っ掛けます。
- 引っ掛けた糸を1目にくぐらせて、右針に移して目を外します。
- 1~3を繰り返して、端まで編むと2段目(裏目)の完成です。
【ステップ3】表目(3段目)を編む
2段目の裏目を編み終えたら、次は表に返して表目を編んでいきましょう。
編み方
- 編み目を表に返します。左手の人差し指に糸をかけ、薬指と小指の間に挟みます。
- 右針の目の左側から、右端の1目に針を入れる
- 人差し指にかかっている糸を右針に引っ掛けます。
- すくった糸を1目にくぐらせて、手前に持ってきます。
- 左針の目を外して、端まで繰り返すと表目(3段目)の完成です。
【ステップ4】裏編み・表編みを交互に繰り返す
ステップ2・ステップ3で解説した裏編み・表編みを交互に繰り返して、端の長さまで編みます。作りたいアイテムによって長さを考えながら編み進めましょう。
編み方
- 4段目は裏目、5段目は表目…と交互に繰り返すとこのような編地が完成します。
- ある程度編み進めると、表目と裏目の網目に違いが出てきます。編み糸を引き出す力、引っ張り具合を均一にするときれいにな編み目に仕上がります。
【ステップ5】伏せ目を作り編み終える
編み終わりの目を止めるにはさまざまな方法ありますが、ここでは 裏目の伏せ止めを紹介します。「伏せ止め」とは棒針を使って目を止める方法のことで、裏目で伏せ目をすると、止めが目立たないのが特徴です。反対に表目の伏せ止めをすると止めが目立つので、端線をはっきりさせたい場合に用います。
編み方
- 裏編みを2目編みます(分かりやすいように糸の色を変えています)。
- 裏編みを2目編んだら、右側にある1目を左側の2目にかぶせます。
- 右針に1目ある状態になります。
- 左側の1目を裏編みし、手順2と同じように右側の編み目を左の編み目にかぶせます。
5.1~4を繰り返したら、最後の目は右針に糸をかけて目を被せます。 - 糸を切って引き抜くと、裏編みの伏せ止めができました(裏からみたところ)。
- 表から見るとこうなります。
メリヤス編みをキレイに編むためのポイント
編み針の先端で編む
メリヤス編みをするとき、慣れないうちは針の先端を長く持って編んでしまいがち。あまり編み目に長く針を入れてしまうと、編み目が広がり緩くなることがあるため注意する必要があります。編み目のゆるみを防ぐには、目に入れる針の長さはできるだけ短くすることがポイントです。左右の針の長さが異ならないよう、針の先端が1cm~1.5cm程度になるように意識して編みましょう。
糸を張る力と方向に気を付ける
編み糸のゆるみや乱れを防ぐには、きちんと編み糸を指に掛けて、しっかり引っ張りながら編み進めることです。きれいに仕上げるためには、意図を張る力を均一にしましょう。また、糸を張る方向、角度も重要です。糸と針の角度が深い場合には、糸を引くことで針の目を締めることができます。角度が浅い場合に、引くことで針の目がゆるむので気を付けましょう。
アイロンで端の丸みを直す
メリヤス編みの場合、編んだ端が丸まってしまう特徴があります。上下は表目側に、左右は裏目側に丸まりやすく、これは編み地の性質上仕方がないことではあります。編み端の丸みを直すためには、仕上げにアイロンをかけましょう。このとき、編み地の上から直接アイロンを当てるのではなく、スチーム機能によって蒸気をたっぷり当てるのがポイントです。
メリヤス編みでマフラーやセーターにもチャレンジしよう
編み物をはじめるとき、初心者さんのほとんどが挑戦するのがメリヤス編みです。表編みと裏編みを交互に繰り返すことで、それぞれに違った編み目が出てくるのが特徴です。さまざま編み方に役に立つスキルなので、はじめに慣れておくと良いでしょう。棒針編みの基礎ともいえるメリヤス編みをマスターして、マフラーやセーターといった大作にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?