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船に乗って来るサンタ?オランダの『シンタクラース』とクリスマス文化

クリスマスといえば12月24日の晩に、トナカイの引くソリに乗ったサンタクロースがプレゼントを持ってやってくる・・・というのが定番ですが、実はオランダでは少し様子が違います。

オランダでは『シンタクラース』と呼ばれるクリスマスの主役は、なんとスペインから船に乗ってやって来るのです。そして、あわてんぼうのサンタクロースよりも更に気が早く、11月半ばにやってきて12月5日には姿を消してしまいます。

そんな一風変わったオランダのクリスマス、一体どんなものなのかご紹介します。

スペインから蒸気船でやって来るシンタクラース

シンタクラースは毎年スペインから蒸気船に乗ってオランダにやってきます。「公式」のシンタクラースがオランダに上陸する場所は年によって変わり、上陸の様子は毎年テレビなどで生中継されて国をあげたお祭り騒ぎに!

この画像はロッテルダム港公式の船舶追跡アプリなのですが、コンテナ船などに交じって、なんとシンタクラースの乗った船”Pakjesboot”の航路や現在地などまで追跡できるようになっているのです。オランダ全体でシンタクラースの到着を盛り上げている様子が伝わってきますね。

オランダに上陸した後、シンタクラースは白馬に乗り換え、2週間ほどかけてオランダ中を周ります。各街の中心部ではシンタクラースを迎えるイベントが開かれ、沢山の人が集まります。

黒い顔をした従者のズワルト・ピートが大人気

オランダのクリスマスに欠かせない存在が、シンタクラースのお供であるズワルト・ピートたち。ズワルト・ピートはシンタクラースと共に行動し、船を操縦したり、子ども達にお菓子を配ったりと色々なお手伝いをします。

ズワルト・ピートとは「黒いピート」という意味で、その名の通り黒い顔と黒い髪をしています。これはスペインにいたムーア人に由来するようですが、ズワルト・ピートの容姿が人種差別なのではないか、とオランダでも毎年議論を呼びます。そのため、最近では「ズワルト・ピートの顔が黒いのは、プレゼントを届けるために煙突を上り下りして、ススがついてしまったから」という説明になっていることが多いようです。下のように街中で見られるイラストでも、ピートの顔を一部分だけ黒くしているのがわかります。

シンタクラースの時期になると、街中のショーウィンドウは蛍光色の派手な色の帽子と宮廷風の衣装という格好をしたズワルト・ピートの人形や飾りでいっぱいになります。シンタクラース本人よりも人気者なのでは?と思うほどオランダのクリスマスの中心的な存在です。

悪い子はシンタクラースにスペインに連れて帰られてしまう?

シンタクラースのオランダ上陸後、子どもたちは毎晩、暖炉やリビングなどに靴を置いて、シンタクラースへの手紙や絵、シンタクラースの馬用のニンジンなどを入れておきます。すると夜の間にズワルト・ピートがそれを集めにやってきて、翌朝には靴の中にお菓子が入っているのです。(これが12月5日まで毎晩続くので、演出する親も長期戦です。)

そして待ちに待った12月5日の夜。シンタクラースとズワルト・ピートたちはプレゼントを配りにやってきます。その年良い子にしていた子には、麻袋いっぱいのプレゼントが届きます。一方で、悪い子は麻袋に入れられスペインに連れていかれてしまう、という何とも恐ろしい脅しが。子どもたちにとっては、楽しみだけでなくヒヤヒヤもする日なのです。

学校や会社にもやってくるシンタクラース

会社や学校などでも、子ども達を集めてシンタクラースを迎えるイベントが開かれます。子どもたちもズワルト・ピートのコスチュームを着て、ズワルト・ピートたちと遊びながらシンタクラースの到着を待ちます。

主役のシンタクラースは大きな本を抱えて登場。事前に親が子どもの良いところ、悪いところ、欲しいものなどを知らせておいて、それがシンタクラースの本に書かれて読み上げられる、という仕掛けになっています。

こうして12月5日の夜で行事は終了。シンタクラースを見送るイベントなどは無く、シンタクラースとズワルト・ピートたちは静かにスペインへ帰っていくことになっています。

12月24・25日のクリスマスは家族と静かに過ごす日

シンタクラースのイベントが終わると、街の飾りつけは日本と同じようなクリスマス仕様に変わります。12月24日・25日は家族皆で教会に行き、家でディナーをしたりと静かに過ごすのが一般的。

オランダの子どもたちは、シンタクラースの日とクリスマスイブに2回プレゼントをもらえるのか?とオランダ人に尋ねてみたところ、クリスマスイブの方にはプレゼントは無いそうです。

会社の従業員がもらえるプレゼントもある

その一方で、クリスマスには会社から従業員に”Kerstpakket”という食料品詰合せのプレゼントが届きます。中身はパン、ソーセージ、チョコレートなどで、年によっては靴下などが入っていたりもします。これは会社からのお歳暮的な意味合いがあるそうで、オランダならではの伝統です。

他の国とはひと味違うオランダのシンタクラースとクリスマス事情。サンタクロースの起源はオランダのシンタクラースにあるとも言われていて、オランダで暮らしていると、オランダ人がシンタクラースの伝統にとても誇りを持っていることが伝わってきます。

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ライター

らっしー
らっしー
オランダ在住。暮らしの中にある素敵な風景を求めてヨーロッパを旅する日々。