街が丸ごとデザイン展示場に!オランダデザインの祭典、ダッチ・デザインウィーク2018レポート

オランダ発のデザインは”Dutch Design(ダッチ・デザイン)”と呼ばれます。機能的でシンプルながら、斬新さとユニークさも兼ね備えたダッチデザインは、世界的にも注目を集めています。

そんなダッチデザインの一大発信地が、オランダ南部の都市・アイントホーフェン。元々、家電メーカーであるフィリップスの企業城下町として発展した街で、今では様々な分野のデザイナーや起業家たちが集まるエッジの効いたエリアとなっています。

街の至るところにデザイン作品の展示が

このアイントホーフェンで毎年10月に行われるのが、オランダ最大のデザインの祭典ダッチ・デザインウィーク(DDW)です。アイントホーフェンの街全体がデザイン展示会場に変身し、市内120か所以上で2,600名を超えるデザイナーの作品が展示されます。

デザインウィーク開催中のアイントホーフェンの街中には、デザイン作品の展示場所を示す標識がたくさん。いくつかのメイン会場内での展示には入場料が掛かりますが、無料で見られる展示も数多くあります。

ホテルやレストラン、オフィスビルの中など、本当にたくさんの場所にデザイン作品の展示があり、全て見て回るのは至難の業。私は丸一日アイントホーフェンに滞在しましたが、全体の半分も見ることができませんでした。

自転車大国オランダらしく、イベントの案内スタッフも自転車を使って案内。来場者用のレンタサイクルも準備されているので、自転車を使ってあちこちの展示会場を回ることもできます。

エコ先進国オランダらしく環境・健康意識の高い作品が並ぶ

デザインウィークの展示は、コンテンポラリーアートのような抽象的な作品から、テキスタイル、家具、文房具などのプロダクトデザインまで多岐にわたります。

その中で共通して見られるのが、「エコとデザインの共存」というコンセプトです。廃材から作られた家具、環境汚染物質を塗料として使った食器など、リサイクルで生まれ変わらせた廃棄物を使って、デザイン性の高いプロダクトを作るということが強く意識された展示が目立ちました。

こちらは「禁煙をするためのデザイン」というテーマの展示。

煙草に見立てた折り紙や、煙草の吸い殻をインクとして使ったスタンプなど、デザインの力で禁煙をサポートするアイディアの数々に、たくさんの人が興味を惹かれていました。

オランダで暮らしていると、贅沢をするよりも「ミニマルに生きる」ことを意識している人が多いなと感じます。そんなオランダ人の気質を反映し、デザイン作品の展示でありながらも、環境や健康に多くの意識が向けられているのが、ダッチ・デザインウィークの大きな特徴かもしれません。

将来の有名デザイナー?デザインアカデミーの卒業制作にも注目

毎年ダッチ・デザインウィークの目玉のひとつとなっているのが、デザインアカデミーの学生たちによる卒業制作です。オランダのデザインアカデミー・アイントホーフェンはデザインの名門大学で、新進気鋭のデザイナーを数多く輩出しています。

デザインアカデミー・アイントホーフェンには世界各国から多くの留学生が学んでいて、学内ではオランダ語ではなく英語が共通語として使われているそうです。卒業制作の中には、日本人の学生による作品もいくつも見られました。(将来の有名デザイナーの作品もあるかも…?)若いクリエイティブなエネルギーに、力をもらえる場所になっています。

フィリップスの工場跡など展示会場の建物にも価値が

ダッチ・デザインウィークのもうひとつの楽しみは、展示会場です。デザインの街・アイントホーフェンらしく、作品の展示会場となっている建物自体からも、ダッチデザインを感じることができます。

メイン会場のひとつとなっているのが、フィリップスの旧工場跡地。工場時代の名残りを感じさせる鉄パイプやレールなどが今でも残っていて、無機質でクールなインダストリアル・デザインの空間の中で、展示を楽しむことができます。

その他にも、イノベーションや起業の拠点として注目を集めているイノベーション・パワーハウスのオフィスなど、普段は立ち入れない場所にも足を踏み入れることができるのも、ダッチ・デザインウィーク期間中の楽しみです。

デザイン先進国、オランダの姿を存分に感じることのできるダッチ・デザインウィーク。デザインに詳しくなくてもきっと感性を刺激される、そんなイベントです。

ダッチ・デザインウィーク公式サイト

写真撮影:らっしー

ライター

らっしー
らっしー
オランダ在住。暮らしの中にある素敵な風景を求めてヨーロッパを旅する日々。