接着芯は、物づくりをしている時にたびたび出てくるアイテムのひとつです。さまざまな種類があるので、どの接着芯を選べばよいのか分からない方もいらっしゃるのでは?
今回は、見えない所で役立ってくれる大切なサポート役、接着芯の種類や使い方などを詳しくご紹介していきます。
接着芯とは?
接着芯とは接着剤が吹き付けてある硬い布のことです。アイロンの熱・蒸気・重さで布に貼り付けて、布に張りや厚みを持たせたり、型くずれをしにくくする目的で使用します。また、生地の強度を増すために使うこともあります。
片面だけのりが付けられた「片面接着芯」と「両面接着芯」があり、また、芯の素材も不織布・織布(綿生地)・編み地などがあるので、接着芯を使いたい場所や用途によって使い分けます。本記事では選び方も解説していますから、チェックしてみてくださいね。
接着芯は、主に見えない所に使用します。
例えば男性のワイシャツの襟裏に使えば硬くしっかりとした襟になり、おかげでシャツがパリッと清潔感のある印象になります。特に洋服を作る上では、どこにどのように芯を貼るかで仕上がりや縫いやすさが変わるので重要です。
また、生地だけではぐったりとしてしまうバックなどにも使うと、自立してくれるので使いやすくなります。
事前にチェック!接着芯の貼り方のコツ
実際に接着芯を付ける前に、上手に付けるためのコツを3ステップに分けてご紹介します。接着芯をキレイに付けられ、かつ、はがれにくくなりますよ。
ステップ1|温度や時間
アイロンの温度は使う素材に合わせて下さい。
薄手で素材がポリエステルやレーヨンの場合温度が高すぎると溶けてしまうかもしれません。家庭用アイロンの場合には中温(140℃~160℃位)で接着していくといいでしょう。
ステップ2|アイロンの動かし方
接着芯の裏からアイロンをかけていくのですが、アイロンをごしごし動かしたり、滑らすようにすると生地が動いてずれてしまったりしわが出来たりします。
プレスするようにしっかりと押し付けながら、4~5秒待ちます。アイロンは、「熱」「圧」「蒸気」で接着するので蒸気もかけるとより密着します。
ステップ3|冷まし方
接着芯がはがれてしまう原因の一つは完全に接着する前に触りすぎることが一つです。くっついているか確認したいのは山々ですが、アイロンの熱が完全に冷めるまでは我慢して触らないようにしてください。
アイロンの熱が冷めて糊が固まります。冷めないうちに触ると、しわが出来たりはがれたりするので気をつけましょう。
実際に接着芯をつけてみよう!
ここからは、接着芯の付け方を見ていきましょう。必要なものは「アイロン」「あて布(綿100%)」「不要な本(雑誌)」です。
接着芯はメーカーや種類もさまざまな種類があります。作品の仕上がりが変わってきますから、素材にあわせた接着芯を選ぶようにしましょう。
道具
- アイロン
- あて布(綿100%)
- 不要な本(雑誌など)
基本的な接着芯の使い方
さっそく「片面接着芯」の基本的な使い方をみていきましょう。「両面接着芯」の使い方は記事の後半にあります。(→両面接着芯タイプの用途・使い方)
使い方
- 接着芯を貼る時は、均等に力がかかるように、土台は硬いものが良いです。
使わない雑誌などの上に、生地を2~3枚重ねて、接着芯を貼る用の台にすると良いでしょう。
- 接着芯を貼っていきましょう!
接着芯を貼りたい生地を、裏側を上にして置きます。
- 生地と同じ大きさに接着芯をカットして、のり面を生地に当てて重ねましょう。
手で触ってザラザラしている方がのり面です。
- 接着芯を重ねました。
上からあて布を載せます。あて布を載せたはずみに接着芯がずれないよう、気をつけましょう。
- 端のほうからアイロンをかけていきます。
温度は接着芯の素材(パッケージなどの説明書きを参照)に合わせてください。薄手のポリエステルやレーヨンの接着芯は、高温で溶けてしまう場合があるので気を付けましょう。
しっかりと押し付けながら、4~5秒待ちます。アイロンは、「熱」「圧」「蒸気」で接着しますから、蒸気もかけるとより密着します。
※分かりやすいように、あて布は外しています。
アイロンを持ち上げ、今アイロンした面に少し重なるようにずらして、同じようにアイロンをかけます。
アイロンを滑らせると芯がよれてしまうので、持ち上げて置くようにしましょう。
次は上から下へアイロンをかけます。アイロンを横にして、同じようにずらしながらかけていきます。
※分かりやすいように、あて布は外しています。
接着芯がつきました。
右側→接着芯を貼ったもの
左側→接着芯を貼っていないもの
このように接着芯を付けるとハリがでて、生地に厚みがでます。
芯を貼ったほうは、自立するくらいハリがあります。
右側→接着芯を貼ったもの
左側→接着芯を貼っていないもの
不織布タイプの接着心
不織布タイプの接着芯は100均などでも手に入る、比較的安価な接着芯です。
※バイリーンという会社が販売しているものが有名なので、不織布タイプの接着芯をバイリーンと呼ぶ事があります。
■用途
厚みはさまざまありますがパキッと硬めに仕上がるので、バッグなどの布小物に使用するのがおすすめです。
不織布はポリエステルやレーヨンとの混紡でできているので、厚地タイプのでも軽いのが特長。軽さを活かして長く持ち歩くバッグなどに使ってもいいですね。
織布タイプの接着心
織布タイプの接着芯は、平織りの綿生地にのりがついたものです。
こちらも厚さはさまざまで、薄手のものでもかっちりと仕上がります。丈夫なのでポケットの裏側などの補強用にもおすすめです。
※ダンレーヌ(日東紡(株))、ステーフレックス(ダイニック社)という製品が有名です。
■用途
不織布の接着芯よりも柔らかい風合いに仕上がります。
布帛(ふはく・糸を縦横に織った布地)の作品、カジュアルなシャツやパンツ、しっかりと仕立てたいバッグなどに使います。
編み地タイプの接着心
通常お洋服に使用する編み地タイプの接着芯は、生地の柔らかさを保ちつつハリが出るので上品に仕上がります。
厚さはさまざまで、こちらは色も豊富です。薄手の生地だと接着芯の色が表から見えてしまって仕上がりを邪魔するので、生地の色に合わせて接着芯を選ぶようにしましょう。
■用途
編み地なので、伸縮性のある生地に使用しても一緒に伸びます。ニット系の生地やお洋服全般に用います。柔らかく仕立てたい小物に使用しても良いでしょう。
両面接着芯タイプ(クモの巣シート・クモの巣芯・両面接着シート)
普通の接着芯は生地の上に「のり」がついていますが、こちらはのりだけをシート状に固めたものです。表も裏も「のり」なので、取り扱いに注意してください。
「くものすシート」「くものす芯」「両面接着シート」などとも呼ばれています。
■用途
リバーシブル生地を作る時や、アップリケ作成に使用します。アップリケの図柄を写しやすい剥離紙付きタイプもあります。
■両面接着芯タイプの使い方
使い方
- 両面接着芯を使って、アップリケをつけてみましょう。
両面接着芯をアップリケと同じ大きさにカットして、アップリケをつけたい生地の上にのせます。
- 続いて、両面接着芯の上に、アップリケ生地(今回は水玉の布)を表を上にしてのせます。
位置や、両面接着芯がアップリケからはみ出していない事を確認します。
- あて布をのせます。
普通の接着芯と同じようににアイロンをかけていきましょう。
- 完成しました。
ぴったりと張り付いています。アップリケ生地(水玉)の周りを、ブランケットステッチやジグザグミシンで始末すると、アップリケになります。
接着芯を使ったリバーシブル生地の作り方
- 両面接着芯を使ってリバーシブル生地を作ってみましょう。
リバーシブルにしたい生地を、表を下にして置き、その上に両面接着芯をのせ、さらにリバーシブルにしたい生地の裏を下にして重ねます。
両面接着芯が生地からはみでないように重ねたら、あて布をしてアイロンをかけましょう。
- リバーシブル生地ができました。2枚の生地が重なっているのでハリがあってしっかりした生地になりました。
裁縫の基本をマスターしよう!
接着芯を上手に付けられると作品のクオリティもアップします。接着芯の種類や特徴を理解して最適なものを選びましょう。付け方をマスターすれば、作品の仕上がりがぐんと納得できるものになりますよ。
裁縫の上達への道は、基本をきちんと理解することから。材料の名前や裁縫の用語など、知らないことが出てくるとやる気もそがれてしまいますから、以下の記事で基本をおさらいしてみましょう。
縫い方の基本と裁縫用語を学ぼう