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街がニットを着ているような毛糸のアート、Yarn Bombing!屋外×編み物の意外な組み合わせにほっこり

Rinnoane

オーストラリアのメルボルンで出会った、毛糸のアート

メルボルンは、路地のカフェやストリートアートが魅力的な街。街の中心には、スプレーアートのグラフィティが許可されている区域もあるほどで、観光客にはストリートアート見学ツアーも人気があります。

メルボルンのストリートアートとカフェ

Rinnoane

そんなメルボルンの街を歩いていたある冬の日、なんと街路樹に色鮮やかなニットが着せてあったのです。木が毛糸に包まれている姿がなんともかわいい!そして屋外に編み物という意外な組み合わせが、一度見たら忘れられないインパクト。調べてみたら、これはニットでできたストリートアート、Yarn Bombing(ヤーンボミング)でした。

SwanstonStreetのヤーンボム

Rinnoane

冬の街を彩る、Yarn Bombing(ヤーンボミング)とは?起源は?

Yarn Bombing という言葉は、Yarn(毛糸)とBombing(爆発)を組み合わせたものです。街路樹や自転車置き場、バス停、銅像など、公共のものに色とりどりの毛糸で編んだカバーのようなものを着せるストリートアートです。

現在ではヨーロッパやオーストラリアでも行われているこのYarn Bombingの始まりは2005年、アメリカのテキサスだと言われています。あるお店のオーナーが、余った毛糸でドアノブにニットをかぶせたところから始まりました。そこからストリートアートとしてのニットグループができ、このアート活動が世界中の編み物ファンへと広がっていきました。

ストリートアートは男性的でワイルド、社会的なメッセージが込められているイメージが強いですが、ヤーンボミングは女性的で優しいテクスチャー。和やかな雰囲気を街に与えてくれます。

しかも毛糸はスプレーアートと違い取り外しが可能なので、植物の毒になったりすることも、公共のものを傷つけてしまう心配もありません。みんなにやさしいアートですね。

こちらは英語のサイトですが、写真も載っているのでご興味のある方はチェックしてみてください。

The Wild and Woolly World of Yarn Bombing, Street Art’s Soft Sensation

世界最大級のYarn Bombingグループ、メルボルンの “Yarn Corner”

メルボルンの街で見かけるYarn Bombを手がけているのは、Yarn Cornerというグループです。Yarn Cornerは2011年にメルボルンのファイバーアーティスト、Baliさんによって発足し、現在では世界中に1000人近くのメンバーがいます。

メルボルン周辺に住んでいる人が参加できるクロッシェ教室Yarn Coner Studioがあったり、メルボルンにある本屋兼カフェHares & Hyenasでクラフトミーティングを開催していたりと、編み物やクラフトを通して人と繋がることができる機会も提供しています。

クラフトミーティングとは、日本ではあまり聞きなれないかもしれませんが、ジャンルを問わずクラフトが好きな人が集まり一緒にアート制作をするお茶会のようなものです。

街中の毛糸たちに触発され、編み物がしたくなってきました

ヤーンボミングでカラフルになった道を毎日歩いていると、だんだん編み物がしたくなってきました。いつも寄り道するクラフトショップへ駆け込み、毛糸と編み針を買い込みました。

日本の実家には一通り編み物のセットがあるのですがオーストラリアには持ってきていなかったので、棒針やいろいろなサイズのかぎ針など、一式揃えました。

「さて。何を編もうかな。」

特に計画もせず思いつきで買ったカラフルな毛糸たちを手にして、子供の頃に戻ったような気持ちでした。祖母がはんぱに残った色とりどりの毛糸をたくさんくれて、かぎ針をプレゼントしてくれた時のことを思い出しました。

「屋外×編み物」のインスピレーション。キャンプでドリンクカバーを編む

Yarn Bombingによってアウトドアと編み物の組み合わせに魅了された私は、夫や友人達とキャンプへ出かける週末、普段なら絶対持っていかないであろう毛糸とかぎ針をバックパックにつめました。

自然豊かなオーストラリアは、アウトドアを楽しめるところがたくさんあります。私たちがよく行っていた地域はメルボルン市内から車で4時間ほどの、Ninety Mile Beachという長く続くビーチの近く。シャワーもトイレも水道もない、砂丘のそばにある、テントがいくつか張れるスポット。都会の文明から離れて2泊くらいゆっくりすると、かなりリフレッシュできます。

ベーコン&エッグとパンケーキの朝食後、みんな各々ビーチで釣りや読書を始め、私は早速焚き火の前で編み物を開始。缶ドリンクカバーを作りました。ドリンクの冷たさをキープする目的はもちろん、ちょっぴり肌寒い時期に冷たい缶を素手で触らなくて済むので、キャンプでのまったり時間のビールにぴったりでした。

ニットのドリンクカバー

Rinnoane

ほぼ細編みだけでできるのでとっても簡単。写真のカバーは中長編みも使いましたが、全部細編みでも大丈夫です。ビール缶をあてがいながら、「底はこれぐらいかな?」「長さはこれくらいかな?」と、編みすぎたら解きながら作りました。

大自然に囲まれた非日常な環境でのアウトドアクロッシェは、日常生活で疲れた頭を空っぽにしてくれました。

帰ってきてからもこのカバーを使ってビールを飲みますが、今でも焚き火のにおいがします。

屋外で編み物を楽しむ

ニットというと温かい部屋の中で、おばあちゃんがロッキングチェアーで編み物をしているようなイメージが強いかもしれません。

でも、毛糸と針さえあればどこでもでき持ち運びも簡単で、自由自在に形を変えられる編み物は、もっとアートとしてのポテンシャルがあると思います。ぜひ街角で、キャンプ先で、編み物を楽しんでみてください。

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ライター

Rinnoane
Rinnoane
エーゲ海に浮かぶクレタ島在住。趣味はアート&クラフト、音楽、旅、食。