塗り絵は、大人用の塗り絵も多く販売されており、今や子どもたちだけが楽しむものだけではありません。文具店や雑貨店などでも手軽に手に入ることから、塗り絵をアートな趣味として楽しむ方が増えています。
塗り絵や描画を趣味とされる方に親しまれているのが、水彩画のようなタッチを表現できる「水彩色鉛筆」です。今回は、水彩色鉛筆を初めてお使いになる方に向けて、水彩色鉛筆の基本的な使い方をご紹介します。
水彩色鉛筆とは?
水彩色鉛筆とは、水に溶ける水溶性の色鉛筆のことです。
一般的な色鉛筆のように使うことはもちろん、水彩画の道具としても用いられます。
芯が水彩絵の具のように水に溶けやすくなっているため、水を加えて色を混ぜたり、ぼかしたり、グラデーションにしたりと、水彩画のようなタッチを楽しめるのが魅力です。描き方次第で一般的な色鉛筆ではできない表現が広がります。
水彩色鉛筆の基本の使い方5つ
ここからは、水彩色鉛筆の初心者さんに向けて、基本的な水彩色鉛筆の使い方をご紹介します。水彩色鉛筆で新しい表現方法を試してみてくださいね。
水を使う表現の際には、水を吸収しやすい画用紙や水彩紙などのご使用をおすすめします。
使い方 |
方法 |
活用シーン |
A.水を含んだ筆で濡らす |
色鉛筆で描いた線を、水を含ませた筆で濡らして、線をぼかす |
色鉛筆画に水彩画のタッチを加える |
B.紙の上で色を混ぜる |
色鉛筆で塗った2色の境界線を、水を含ませた筆で濡らして色を混ぜる |
グラデーションを描く |
C.濡れた筆を使って芯から色を取る |
水彩色鉛筆の芯に、水で濡らした筆をつけて直接色をとってから描く |
色鉛筆の線を出さず、水彩絵の具で描いたようなタッチで描く |
D.濡れた紙に描く |
描きたい部分を濡らしてから描く |
乾いた紙に描くよりも、濃くインパクトのあるタッチで描く |
E.水彩色鉛筆の芯を削って振りかける |
水彩色鉛筆の芯をカッターで優しく削り、 削りカスを紙の上に落として描く |
チョーク画のようなタッチで描く |
必要な道具
■できあがりサイズ
B6など(用紙サイズによる)
■所要時間
各10〜50分ほど(書き込み具合による)
材料
- 水彩色鉛筆
- 画用紙やスケッチブック
道具
- 水彩色鉛筆
- 筆
- 水
- カッター(技法Eのみ)
A:水を含んだ筆で濡らす
水彩色鉛筆で描いた部分を水を含んだ筆でなぞると、紙の上でフワッと水彩色鉛筆の色が溶けて、淡くやさしい風合いに仕上がります。輪郭をしっかりと描くことで、水で溶けた淡いところとの強弱がはっきり出す。
塗り方
- 普通の色鉛筆と同じように水彩色鉛筆を使って絵を描きます。 塗りつぶすのは隙間があっても大丈夫です。
- 水で濡らした筆で、上からなぞります。
- 水に溶けて広がり、水彩画のような色合いになります。
B:紙の上で色を混ぜる(グラデーション)
続いては、水彩色鉛筆で色を混ぜたり、グラデーションをつけたりするテクニックです。先ほどと同じように描き、一部に異なる色を配置します。その後、水を含んだ筆で描いた部分をなぞると、美しいグラデーションができます。
塗り方
- 2〜3色の色を使って重ね塗りします。
- 水で濡らした筆でなぞると、色の境目が自然と馴染んできれいなグラデーションに仕上がります。薄い色から濡らしていくと、色が濁りにくいです。
- さまざまな色を使って、色の変化を楽しみましょう。
- 色の境目を水でなじませたところです。
C:濡れた筆を使って芯から色を取る
濡れた筆を使って、水彩色鉛筆の芯から直接色を取る方法です。
この手法を使って描くと、水彩絵の具よりも透明感のある繊細なタッチを表現できます。色の伸びが良いことも水彩色鉛筆ならではの魅力です。
塗り方
- 水彩色鉛筆の芯に、水で濡らした筆をつけて直接色をとります。
- 色を取ったら、紙に塗ります。
- 透明感のある優しい色合いです。 少量でも色がよく伸びます。
- 先にご紹介した「A(基本の使い方)」と「B(グラデーション)」は、鉛筆の風合いを残しつつ、水彩絵の具の風合いをプラスする方法でした。こちらのCの技法は、淡い水彩絵の具を使ったように描けます。色々な技法を組み合わせて楽しんでください。
D:濡れた紙に描く
色を乗せる部分の紙を濡らしておいて、その上から水彩色鉛筆で描くと、より濃い色を出せます。インパクトをつけたい箇所に使いたいテクニックです。
また、紙が完全に乾く前に描き足すことで、水に色が浮かび上がったような立体感を描くこともできますよ。
塗り方
- 濡れた紙の上に書いてみると、より濃く色がつきます。 クレヨンで書いたような、やわらかさと濃さがあります。
左:乾いた紙に書いた状態/右:濡れた紙に書いた状態
- たとえば、まずは乾いた紙に水彩色鉛筆で絵を描き、水筆でぼかします。
- 乾く前に再度書き込めば、ぼんやりした輪郭をくっきりさせるといった使い方ができます。
E:水彩色鉛筆の芯を削って振りかける
水彩色鉛筆の芯を削って指で擦り広げて、チョーク画のようなタッチを描くことができます。
鉛筆の筆跡を出したくない箇所や、広範囲を描く際によく使われます。また、指で広げた後に水を含んだ筆を使用すれば、さらに色を広げることもできます。
塗り方
- 水彩色鉛筆の芯をカッターで優しく削り、 削りカスを紙の上に落とします。
- 指でこすって広げます。
- 水をつけた筆で馴染ませたら完成です。広範囲を塗りたい時や、鉛筆跡を出したくない時に使うと良いでしょう。
水彩色鉛筆の選び方
水の溶けやすさで選ぶ
水彩色鉛筆は、芯の硬さによって「硬質」「中硬質」「軟質」があります。
描きたい絵のイメージに合わせて、水彩色鉛筆の硬質度とカラーバリエーションを選ぶことがポイントです。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
特徴 |
向き |
不向き |
|
硬質 |
・一般的な色鉛筆のように細かな描写がしやすい ・水に溶けにくい |
・細かな線をぼかす ・乾いた状態で線を描く |
・広い範囲を塗りつぶす ・柔らかいタッチで描く |
中硬質 |
・硬質と軟質の中間くらいの柔らかさ |
・色鉛筆で描く感覚で、水彩画のようなタッチを描く |
・髪の一本一本を細かく描く |
軟質 |
・非常に水に溶けやすい |
・水彩画のようなタッチを楽しむ ・柔らかな印象の絵を描く ・広い範囲を塗りつぶす |
・細かな線を描く ・硬いタッチを描く |
①硬質
一般的な色鉛筆のように細かな描写がしやすいことが特徴。水に溶けにくいため、細かな線をぼかしたいとき、ドライで線を描きたいときに適しています。
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②中硬質
色鉛筆のような細かな描写と、ぼかしやグラデーションといった水彩表現の両方を楽しめるのが特徴。初心者の方にもおすすめです。
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③軟質
もっとも水に溶けやすくタッチが柔らかいため、3種のなかで最も水彩風の表現を出しやすいタイプです。柔らかな印象の絵を描きたいときや、広い範囲を塗りつぶす、芯の色を混ぜて複雑な表現を出したいときに適しています。
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色のバリエーションで選ぶ
より複雑で深みのある表現を描きたい場合は、色のバリエーションが豊富な水彩色鉛筆を選びましょう。ただし、初心者の方は、使用する色を迷わないためにも、12〜36色ほどの色がセットになったものから始めることをおすすめします。
前述のとおり、水彩色鉛筆は紙の上で色を混ぜることもできるため、まずはよく使用する色がセットになったものを選ぶとよいでしょう。
色鉛筆の塗り方もチェック!
Craftie Styleでは、水彩色鉛筆だけでなく、一般的な色鉛筆の塗り方もご紹介しています。少しコツを取り入れることで、同じ色鉛筆でも仕上がりに差が出ますよ。色の重ね方やグラデーションのやり方を詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
水彩色鉛筆で豊かな表現を楽しもう
初めて水彩色鉛筆を使用された方は、子どもの頃から使い慣れている一般的な色鉛筆との違いに驚かれることでしょう。水彩色鉛筆を使えば、色鉛筆だけではできない、滲みやグラデーションなど、表現のバリエーションが広がります。
大人用の塗り絵をはじめ、お子さまとのお絵描きなど、水彩色鉛筆を取り入れた自由なアートを楽しんでみてくださいね。