繊細に切り抜かれたシルエットが美しい切り絵。みなさんの中にも、子どものころに作ったことのある方が多いのではないでしょうか。
紙を切り抜いて作る切り絵は、絵画とはまた違った奥深い魅力が存在します。一見難しいイメージがありますが、シンプルな図柄であれば初心者さんでも楽しくアート作品を作れます。今回は、初心者さんに向けて、切り絵の基本的な作り方をご紹介します。
魅力あふれる切り絵の歴史
切り絵は1枚の紙を人物や植物などの形に切り抜くアート手法のひとつです。最近では色彩豊かなカラー作品や立体的な作品も登場するなど、さまざまな進化を遂げています。
日本では古来より神事に使用されており、中国の「剪紙(せんし)」と呼ばれる伝統工芸品の切り絵は、なんと約1500年以上の歴史を持っています。
繊細で美しい切り絵作品は、インテリアとしてはもちろん、集中力や想像力を鍛える知育遊びとしても取り入れられています。
切り絵をはじめるために必要な道具
切り絵に必要な道具は文具屋さんや100円ショップなどで手に入るものばかり。お家時間の趣味として気軽に始められますよ。
■図案
切り絵の初心者さんは、カットする線が描かれた切り絵用の図案を使うのがおすすめです。インターネット上でも無料の図案がたくさん提供されていますので、探してみてください。
切りたいイメージがある場合は、紙に下書きして図案を用意しておきましょう。初心者さんは下書き線を太めにしておくと、紙をキレイに切り出しやすくなります。
■カッターナイフ
普通のカッターナイフでも切り絵はできますが、普通のカッターナイフよりも細い、アート用のデザインナイフがおすすめです。ペンのように持てて普通のカッターナイフよりも小回りが利きくので、細かい部分もカットしやすいです。100円ショップでも購入できます。
■カッティングマット
カッティングマットは、机を傷つけないだけでなく、切り跡の凹凸を残りにくくするために必要なアイテムです。作品の出来栄えに貢献してくれるので、新聞や厚紙で代用するよりも、カッティングマットの使用をおすすめします。定規を使わなくても長さを測れるメモリ付きのものが便利です。
■ハサミ
カッターナイフと同じく、ハサミにもアート用のハサミが存在します。普通のハサミよりも刃先が細く、繊細なカットがしやすくなっています。切り跡がキレイに仕上がるので、趣味として続けるならアート用のハサミも検討してみてください。
■台紙とのり
切り絵は台紙に貼り付けて仕上げるのが一般的です。台紙には、画用紙などの厚みのあるものを用意しましょう。のりは跡が残りにくいものや、細かなところまで糊付けしやすいペンタイプのものがおすすめです。
基本的な切り絵作品の作り方~お花の切り絵~
今回はシンプルなチューリップの図案を使用しました。基本的な切り方を覚えたら、少しずつもっと細かな図案に挑戦してみましょう!
■完成サイズ
A4
■所要時間
1時間〜2時間ほど
■図案
今回使用した図案は以下からプリントアウトできます。
お好きな図案で作成されてももちろんOKです。
材料と道具
- 黒画用紙
- 白画用紙(台紙として)
- 図案
※図案はご自身で絵を描く、もしくはダウンロードできる図案を用意しましょう。 - デザインナイフ(なければ使いやすいカッター)
- カッターマット
- ホチキス(又は剥がせるスプレーのり)
- のり
作り方
- 図案を用意します。 コピー用紙などのペラペラな紙でOKです。
- 黒画用紙に図案をホチキスで留めます。 剥がせるスプレーのりなどでもOKです。
- ずれないように数箇所留めたら、準備OKです。カッターの刃は切れ味の良い新しいものを用意しましょう。
- カッターは紙に対して真っ直ぐ垂直に立てて使います。
こちらはNGの例。紙に対して斜めにカッターを入れるとズレの原因になります。
- いよいよカットです。図案の白い所を切っていきます。
図案の中で細かい所から始めましょう。
- 刃が斜めにならないよう気をつけて、紙を回しながら切り抜きます。
- 細かい所→大きい所の順で切り抜いていきます。外側以外の所が切れたところです。
- 最後に外側を切っていきます。繊細な作業になっていくので、ズレないように気をつけましょう。
- 外側も切れたら、そっと剥がします。
- 切り抜けました。
- 切り抜いたものの裏側にのりをつけます。
- 台紙(厚紙、画用紙など)に貼り付けたら完成です。
切り絵に色をつける方法
切り抜いたモノトーンの作品に、色を貼りつけてみましょう。
今回は、葉っぱや花びらの部分の一部だけに色を付けて、おしゃれな切り絵に仕上げました。イメージやモチーフに合わせて、自由に色付けしてみてください。
材料と道具
- 彩色用の紙(折り紙・色和紙・画用紙など)
- ハサミ
- 鉛筆
- トレーシングペーパー(彩色用の紙が透けないタイプの場合に必要)
作り方
- 完成した切り絵の裏側に色紙をあてて、型を取ります。輪郭からはみ出ないよう、真ん中あたりに線をひくのがコツです。
※透けない色紙の場合は、トレーシングペーパーで型取りましょう。
- 線に沿ってハサミで切ります。
- 色紙を貼るところに、のりをつけます。
- 切った色紙がはみ出ないよう、慎重に重ねます。
- 表に返してみました。キレイに色が入っていますね。他の場所も同じように型を取って貼りつけていきましょう。
- 全部に色をつけても良いですし、ポイント的に一部に色をつけてもおしゃれです。お好みで仕上げましょう。 透け感のある紙だとステンドグラス風にも見えますよ。
- 額縁に入れて完成です。インテリアとして楽しんでくださいね。
上手に切り絵を仕上げる2つのコツ
最初は上手に切り抜けないかもしれません。もちろん慣れも必要ですが、切り絵をきれいに仕上げるにはいくつかコツがあります。これから紹介するコツを意識して、切り絵作りに挑戦してみてください。
①カッターの切れ味はいい状態にしておく
切れないカッターナイフで紙を切ろうとすると、同じ場所を何度もなぞることになり、切り跡の仕上がりが悪くなります。紙が破れてしまう可能性もあるため、カッターの刃はこまめに交換して、常に切れ味の良い状態にしておきましょう。
②曲線部分は紙を動かして切る
カッターではなく紙を動かして切るのがポイントです。紙だけを動かしにくい場合は、カッティングマットと一緒に動かすと、細かいところやカーブが切りやすくなります。
繊細な模様がきれいな切り絵アート
切り絵アートは、身近な道具と材料ではじめられる手軽なアート作品です。最初のうちは複雑なデザインを切り抜くのは難しいかもしれませんが、慣れてくれば繊細な図案もキレイに切り抜けるようになります。
また、シンプルな図案であっても、色付けに使う素材や色付けする場所によって、とてもおしゃれに仕上がるのも切り絵の魅力です。あなたの創造力や感性を生かして、自分だけの切り絵アートを作ってみてはいかがでしょうか。