衣類の袖口や裾、小物の開口部などに用いられるマジックテープ(面ファスナー)。手軽に付け外しできるため、着替えやモノの出し入れに便利です。
そんなマジックテープにはさまざまな種類があり、付け方によって強度が変わります。
今回は、マジックテープの種類別の付け方と選ぶポイントについて紹介します。
マジックテープ(面ファスナー)の種類
一般的なマジックテープは、フック面(手触りが固い)とループ面(手触りがフワフワ)が1セットになっていて、「フック対フック」「ループ対ループ」ではくっつきません。
なかにはフックとループが同じ面についていて、1種類で両方使える製品もあります。このタイプは折り返したり、巻いたりして使うことが多いですが、貼り付けたり、縫い付けることも可能。取り付けの際に、フック面とループ面を間違えるといったトラブルも防げます。
また、いずれのタイプもあらかじめカットされている製品と、ロール状に巻いた長いテープを切り出して使う製品があります。手芸店などでは、ロールタイプから好きな長さ分を切り出して買える量り売りもあり、長い箇所に取り付けたい場合などに便利です。
代表的なマジックテープの種類は、以下の3つです。
①シール接着タイプ
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マジックテープの裏面にのりが付いていて、布やモノに貼るだけで接着できるタイプです。針と糸で縫い合わせる必要がないため、裁縫が苦手な方にもおすすめです。ただし、強度が低いので、繰り返し剥がしたり、洗濯をしたりするとマジックテープが取れてしまうことがあります。
②アイロン接着タイプ
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マジックテープの裏面に熱で粘着力が高まるのりが付いており、アイロンをあてて接着するタイプです。こちらも裁縫いらずのため初心者の方にも取り付けやすいことが特徴です。シール接着タイプと比べると強度は高いものの、あまり頻繁に付けたり外したりするとのりが弱まり、取れてしまうことがあります。
③縫い付けタイプ
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糸でマジックテープを縫い付けるタイプです。裁縫の手間はかかりますが、シールやアイロンタイプと比べると強度が高いため、繰り返し付けたり外したりするアイテムに適しています。
シール接着タイプのマジックテープの付け方
シール接着タイプのマジックテープの作り方を紹介します。生地に貼るだけなので、裁縫が得意でない方にもきれいに取り付けられます。
向いている素材には、革や合皮、プラスチック、壁紙などが挙げられます。裏面に付いた「のり」の粘着が弱まらないよう、水洗いしない布やモノに使用してください。
素材によっては「のり」との相性が悪く、剥がれやすくなることがあるため、事前に確認してから付けましょう。
材料と道具
材料
- シール粘着タイプのマジックテープ
- マジックテープを貼る布
道具
とくになし
マジックテープの付け方
シール粘着タイプのマジックテープは、裏面に「のり」が付いているため、布やモノに貼るだけで取り付けできます。なお、ミシンや手縫いで縫うと、「のり」が針に付いて使えなくなるためご注意ください。
付け方
- 貼りたいものの「上にくる方」(フタやタブなど)に、フック面(触った感じががさがさして硬い方)をつけましょう。
マジックテープの裏面についている、剥離紙をはがします。※一般的には、上側にフック面をつけますが、用途や生地によって変わる場合があります。
- 接着したい位置を決めて、接着面をきれいにして、強く押し付けて貼ります。
この時、こすらないように気を付けてください。
- 貼りたいものの「下にくる方」(袋や本体など)にループ面(触った感じがふわふわする方)をつけます。
上下にマジックテープがつきました。
- 完成です。
アイロンを使ったマジックテープの付け方
続いて、アイロンを使ってマジックテープを接着させる方法です。
アイロンで接着できるマジックテープは、裁縫が苦手な方におすすめです。
縫い目が大きく、マジックテープを縫い付けるのが難しいニット生地や、衣類などで表にステッチを出したくないとき、既製品に追加で付けたいときなどに適しています。
裏面に「のり」が付いているので、種類によってはマジックテープが硬くなり、手縫いやミシンで縫えない場合があります。また、熱に弱い生地には使えません。
材料と道具
材料
- アイロン接着タイプのマジックテープ
- マジックテープを貼る布
道具
- アイロン
マジックテープの付け方
アイロンを使ったマジックテープの作り方を紹介します。
今回は、ニット生地にマジックテープを付けました。取り付ける前に、アイロンをあててもよい生地・モノかどうか確認してください。
付け方
- 付ける位置を決めて、クリップで仮止めします。
この時、貼りたいものの「上にくる方」にフック面(触った感じががさがさして硬い方)、「下にくる方」にループ面(触った感じがふわふわする方)を配置しましょう。
※一般的には、上側にフック面をつけますが、用途や生地によって変わる場合があります。ニットなど繊細な生地は、フック面が引っかかって生地を傷めることがあるので、仮止めの際などは気をつけてください。
- マジックテープが下になるように置き、生地の上から、アイロンをかけます。薄い生地の場合は、あて布を当ててください。
貼り付けられました。
- 完成です。
ミシンを使ったマジックテープの付け方
ミシンを使ってマジックテープを縫い付ける方法です。
洋服やバッグ、インテリア用品など幅広く使うことができ、さまざまな生地に取り付けられます。
ただし、ミシンで縫うことのできない生地や革には使えません。チュールやオーガンジーなどの薄手の生地や、起毛した生地は、ループ面が生地に引っかかることがあるので取り扱いにお気を付けください。
材料と道具
材料
- ミシン縫い付けタイプのマジックテープ
- マジックテープを縫い付ける布
道具
- 布切りバサミ
- 糸切りバサミ
- チャコペン
- まち針
- 定規
- 目打ち
- クリップ
- ミシン
- ミシン針14~16番(厚地用)
マジックテープの付け方
ミシンを使ったマジックテープの付け方を紹介します。
今回は、平織りで丈夫な「帆布生地」にマジックテープを取り付けます。
付け方
- 付ける位置を決めて、クリップで仮止めします。
まず、貼りたいものの「上にくる方」にフック面(触った感じががさがさして硬い方)を配置しましょう。ループ面(触った感じがふわふわする方)は、フック面を縫い付けてから配置するので、ひとまず置いておいて構いません。
※一般的には、上側にフック面をつけますが、用途や生地によって変わる場合があります。チュールやオーガンジなど繊細な生地は、フック面が引っかかって生地を傷めることがあるので、気をつけてください。 - マジックテープの端から約2~3mmのところをミシンで縫っていきます。
この時、マジックテープの角(端)ではなく、写真のように長い辺の途中から縫い始めるのがポイントです。角からスタートすると、縫いずれたり、返し縫いがしにくくなってしまいます。
- 角まで縫えたらミシンを止め、針を刺したまま、押さえ金を上げて生地を90度回します。回したら、押さえ金を下ろして再び縫い始めます。
- 同様に、反対の角まで縫えたらミシンを止め、針を刺したまま、押さえ金を上げて生地を回します。回したら、押さえ金を下ろして縫い続けます。
- 残りの角に差し掛かった時も同様に一度ミシンを止め、針を刺したまま、押さえ金を上げて生地を回します。回したら、押さえ金を下ろして縫い続けます。
- 最後は5mmくらい縫い目が重なるように返し縫いをして完成です。
- フック面が縫えました。
- 次に、ループ面を縫います。ループ面のマジックテープを、フック面にのせます。
- さらにループ面の上から、ループ面を縫い付けたい生地を載せ、写真のように生地とループ面の生地を一緒に外してみて、縫い付け位置を確認します。位置がずれそうな場合は、チャコペンで印をつけてから外しましょう。
- 付ける位置を決めたら、クリップで仮止めします。
- フック面と同様にして、ループ面を生地に縫い付けます。
- 縫えました。
重ねるとこのようになります。
マジックテープの選び方と付けるポイント
マジックテープをシールやアイロンで取り付ける場合は、ミシンで縫い付ける場合と比べて強度が低くなります。
シールタイプのなかには洗濯できないマジックテープがあるほか、アイロンタイプはシールに比べると丈夫ですが、ミシンで縫い付けるよりは強度が劣ってしまいます。
そのため、繰り返し付けたり外したりするものや、頻繁に洗濯するアイテムにマジックテープを付けたい場合には、ミシン縫い付けのマジックテープを選ぶとよいでしょう。
反対に「あまりマジックテープを付けたり外したりしない」「手早く取り付けたい」という場合には、シールタイプかアイロン接着タイプもおすすめです。
なお、ミシンで縫い付ける場合は、マジックテープの周囲だけでなく対角線上も縫うと、強度がアップしてはがれにくくなります。袖口やポーチの開口部など、ボタン代わりとして付ける場合にもぴったりです。
アイテムに適したマジックテープを付けよう
衣類や布小物などの開閉口を手軽に開け閉めできるマジックテープ。シールやアイロンで接着できるもの、手縫いやミシンで縫い付けるものなど種類があるので、用途に合ったマジックテープを選びましょう。
シールやアイロンを使うタイプは、裁縫いらずで手軽に付けやすいという魅力がありますが、強度が低めです。何度も繰り返し付けたり外したりするようなアイテムには、ミシンで縫い付けて丈夫に仕上げるのがおすすめです。