お気に入りに追加しました

お気に入りを解除しました

ものづくりワークショップにできること/Craftie Party特別ゲストパネルディスカッション

先日、Craftieのオフィスラウンジにて開催された”Craftie Christmas Party”には、たくさんのワークショップ講師・ハンドメイド作家として活動中の皆様がお集まり下さいました。

今回のパーティーのメインコンテンツは、3名の特別ゲストをお迎えしてのパネルディスカッション。それぞれの事業には異なるミッションがありながらも、「暮らし」や「ものづくり」を軸に展開されているこれらのサービスに共通するのは、イベントなどでものづくりのワークショップが行われているということ。

なぜ今ワークショップを開催するのでしょうか?その理由と、期待していることや可能性について語って頂きました。

パネリスト

中目黒蔦屋書店 店長 渡邉 匠 氏

二子玉川 蔦屋家電 上田 元治 氏

GMOペパボ株式会社 minne事業部 部長 阿部 雅幸 氏

ファシリテーター

株式会社Craftie 代表取締役 康 瑛琴

それぞれのサービスのコンセプト

渡邉:最近寒くなってきましたが、今日は家を出てくる時に慌ててくるぶしソックスをはいてきてしまいました(笑)中目黒蔦屋書店の渡邉と申します。

渡邉:クリエイターの多い街である中目黒の蔦屋書店は、「クリエイティブエンジンになる」というコンセプトを掲げています。創造的な仕事をされている方々、例えばハンドメイド作家、建築家、デザイナー、Web関連の仕事の方、芸能関係の方、そういう方々にとってヒントが得られるようなお店でありたいと思っています。

上田:二子玉川 蔦屋家電の上田です。実は僕もくるぶしソックスです。今日この前の時間に走ってまして。

会場:(笑)

上田:蔦屋家電は、家電と言いつつ電化製品以外にインテリアなども扱っていて、「暮らし」と「住まい」によりフォーカスして総合的にライフスタイルを提案しています。例えば、二子玉川の店内にはPanasonicのショールームがあるのですが、ここは一般的な家電のショールームと違い「キッチン」「お風呂」「リビング」など、家電製品そのものでなく「暮らしの空間」作りをイメージしてもらえるような場所になっています。今Craftieには、このショールームのコンセプトに合わせてワークショップを企画運営してもらっています。

阿部:阿部と申します。今思っていることが一つありまして・・・なぜ僕はくるぶしソックスを履いてこなかったのかということです。それだけが心残りです。

会場:(大笑)

阿部:GMOペパボはインターネットのサービスを作って提供している会社で、2011年に社内公募で私が提案したものが採用されて『minne』というサービスが立ち上がりました。

阿部:『minne』を作ろうと思った理由をお話すると、僕は蚤の市などに行くのがとても好きで、そこで作家さんとお話したり雑貨を買ったりしていたんですが、当時作家さんたちはインターネットでは作品販売をされていなかったので、家に帰ってもっと作品を見ようと思って検索しても出てこなかったんです。よく話を聞いてみると、作家さんたちはネット販売をすごくハードルが高いと感じていることがわかりました。そこで、作家さんがブログを書くような感覚で作品を販売できるサービスを作れば、作品を色んな方に届けることができるし可能性が広がると思ったのがきっかけです。個人的にも、インターネットで作品が探せるといいなと思っていました。

お店作りで大切にしていることは?

康:例えば蔦屋家電には家電という縛りがある中で、いろんなテナントさんが入っていたりしますよね。どんなお客様へどんな価値を提供されたいと考えていらっしゃいますか?

上田:こういう人に来てほしい、というのは地域や店舗ごとにカラーもあるんですが、どんな人にも訪れてほしいですね。二子玉川 蔦屋家電の象徴的なお客さん像としては、例えばスタバにMacを持って入っていく人でしょうか。そして、私もあの中に入ったらちょっとおしゃれかも、という気分になれるような「人のいる風景」と「空気」のある場所を提供できたらと思っています。

康:『minne』はインターネット上のお店ということで、阿部さんはどんなことを意識されていますか?

阿部:『minne』はハンドメイドのマーケットではあるんですが、ハンドメイドっぽくしないということを軸に考えています。購入者の方に向けては、良いものと出会える、他のお店にはないワクワクするものと出会える、という「出会いの体験」を大切にしながらサイトを作ってきました。例えばインターネットのサービスだと自動的に作品をチョイスして表示するということも技術的に可能ですが、僕らはピックアップする作品を手動で選んでいたりします。

康:そうなんですね!この規模になってなお、ですか?

阿部:はい、まだやってます。そういう意味では非常にクラフト感のあるサービスだと思います。そういったところも支持されてきた理由なのかなと。

康:中目黒蔦屋書店はいかがですか?

渡邉:クリエイターというキーワードを先ほど挙げましたが、もう一つ重要なキーワードとして「待ち時間」があります。中目黒の駅前って、夕方から夜にかけて待ち合わせする人がたくさんいるんです。その人たちがガードレールに座って待つ代わりに、コーヒーを飲んだり、友達へのちょっとしたギフトを選んだりしながら過ごせると良いなと。また、店舗の中のエリアを「待ち合わせ用」「おしゃべり用」「仕事用」「イベント用」という風にテーマで分けています。

ものづくりのワークショップをする理由

康:その中目黒蔦屋書店の「イベント」のスペースでCraftieも2年前からワークショップを行っているのですが、当時、書店や飲食店でのワークショップは他ではあまり行われていなかったですよね。ワークショップを取り入れることによって、どんな価値を提供したいとお考えでしたか?

渡邉:書店としては、やっぱり今はAmazonという脅威があります。でも、蔦屋書店は本を売る場所ではなくて、あくまでも「生活提案をしていく」場所なんです。本や映画のコンテンツによって、人の生活が豊かになることってありますよね。例えば『007』を観た人が、あの時計欲しいなぁと憧れたり、あのスーツ姿かっこいいなぁ、と思って取り入れてみたり。単なる本やDVDというモノの販売ではなくて、そういう風にコンテンツから感じる生活を提案していきたいという想いがあります。だから、単純に待ち合わせまでの時間をつぶす場所になるのではなく、例えばワークショップでクラフトを楽しんでもらったり、そこで出会った人たちのコミュニケーションが生まれたら良いなと。スマホでなんでも出来てしまう時代だけど、リアルに行ける場所で生活を楽しめる空間を作れたらと考えています。

康:二子玉川 蔦屋家電でもこの12月からCraftieとの取り組みが始まりましたが、上田さんがワークショップに期待されているのはどんなことですか?

上田:私たちの店舗は普段から多くのお客様が集まることもあり、集客を狙おうという理由で何かイベントをすることはあまりないです。でも、ワークショップを行うことで、通りがかりの人が「これ参加できるんですか?」と興味を持って下さったり、カフェのお客様が「何か楽しそうなことやってる」と思って下さるような素敵な空間が出来るんですよね。その空気を継続して作っていくためにも、今後はもっと頻度を上げたいなとは思っています。

康:オンラインの『minne』も、今は世田谷・神戸・福岡に「minneのアトリエ」というハンドメイドスペースを置かれていてオフラインの活動もされていますが、どういった背景があるんでしょうか?

阿部:minneのアトリエは、もともと作家さんのために始まったスペースなんです。作家さんの中には、インターネットでの販売の仕方や価格の付け方、写真の撮り方、説明文の書き方などがわからないという方が非常に多かったので、それらをアドバイザーが直接お伝えしたり、自由に質問してもらうための場として始まりました。

康:なるほど。今はイベントやワークショップも行われていますよね。

阿部:そうですね。ワークショップの目的は、購入者と作家さんという2つの軸があります。購入者の方には、ハンドメイドのものの価値を正しく感じてもらいたいという思いがあります。ワークショップに参加した人には、サイトの商品を見た時「これって結構作るの大変だよね」「確かにこれくらいの価格になるよね」という実感値を持ってもらえるんです。

作家さんには、最近は売るだけではなく「教えたい」「本を出したい」という人も増えてきました。作家さんの可能性を広げる方法の一つとして「教える」があると思っているので、そのためにワークショップを行っているというのもあります。

「作る人」と「買う人」の目線の違い

康:今日ご参加の講師・作家の皆さんの中で、「教える」と「販売する」を両方やっているという方はいらっしゃいますか?

講師S私は両方行っていますが、当初、販売することと教えることをしっかり分けられていなかった部分がありました。例えばワークショップで教えているものと同じ作品を販売したり、「これくらいで売りたいな」と自分目線の価格設定をしてしまったり。今日お話を聞いていても「作り手」と「買い手」の目線は違うなと改めて思いました。

康:「作りたい(ワークショップなどで自分で作りたい)人」と「買いたい人」の視点はどういう風に違うと感じていますか?

講師Sワークショップの場合、レッスンを受ける、自分で体験するという姿勢で来られます。でも販売の場合、お客様は完成された「もの」を求めていらっしゃるので、より高いクオリティや手の込んだ作品を求めているなと。

阿部:僕は逆に、自分が売りたいなと思う値段で売ることは結構大事なことだと思っています。『minne』が始まった頃、出品作品全体の価格が安くなってしまったことがあったんですが、それは価格競争の結果として「安くすれば売れるだろう」という考え方から来ていたんですね。でもその価格では、ものづくりは続かなくなってしまう。だから、適正な価格設定をすることで、継続して活動できるようにすることはとても大事だと思っています。

なぜワークショップに参加したいと思う?

上田:僕から質問があります(笑)ワークショップに参加される方のモチベーションは何でしょうか?「作る時間を楽しみたい」なのか「上達したい」なのか?

講師Sカップルで参加されて、最初は彼女に連れられて来たという感じだった彼氏が、その後一人で継続して通って下さっています。最初は「まぁ楽しそうだし」という気持ちで体験したみたら「次はこれが出来るようになりたい」という向上心が出てきたみたいです。

講師A最近感じていることは、もちろん作品が欲しいからという方もいらっしゃるんですが、それよりもお子さんにものづくりを体験させたいとか、「体験にお金を出す」という方が増えてきているなと。その場合は作ることで満足されるのか、作品を置き忘れて帰ってしまう方もいます(笑)あとカップルで参加される方は、「あなたこういう色が好きだったんだ」とか、ものづくりを通して相手への新たな発見があるのも楽しいみたいですね。

最後に、今後について一言お聞かせください

渡邉:蔦屋書店でCraftieのワークショップを定期的に開催してもらっていて、すごく素敵だなと思う瞬間があります。それは、参加された方同士が仲良くなっておしゃべりしたり、連絡先を交換していたりする時なんです。そうやって新しい繋がりが出来ていくのってすごく素敵ですし、今後も一緒にそういう空間を作っていければいいなと思っています。

上田:今の話とも繋がりますが、蔦屋書店・家電は今後地方にも出店を拡大していくところで、特に地方の場合こういった地域での繋がりやコミュニティ作りが非常に大切なので、我々は各地でそういう役目も担っていければと思っています。

阿部:そもそも僕が今日ここにいる背景をお話すると、Craftieのことをサービス開始当初から知っていて「素敵なコンセプトのサービスだな」と思い、お問い合わせしてお話させて頂いた・・・というご縁なんです。ハンドメイド領域という軸で今後なにかご一緒できることがあれば、是非その際には皆さんにもご参加頂ければ嬉しいです。

康:皆様、本日はありがとうございました!

Craftieについて

ものづくりワークショップ事業を展開しているCraftieでは、講師・クリエイターの皆様向けの交流会を定期的に開催しています。

毎回テーマに合わせてゲストの方をお招きし、パネルディスカッションを行ったり、参加者の方同士で自由に交流して頂くことで、活動のヒントやインスピレーションを得られる機会になれば、と思っています。ご興味のある方はこちらよりお教室登録頂くと、メルマガにて交流会の開催情報が届きます。

ものづくりワークショップを取り入れたい企業様は、こちらよりご連絡くださいませ。

ハンドメイド好きなあなたへ、毎月届くハンドメイドキット「Craftie Home Box」3期生受付中♪

3期生4月Boxは、ハンドメイドの中でも大人気の刺繍を扱ったBoxです!

刺繍をしたことがない方も基本のステッチから練習ができ、そのステッチをマスターしながら4つのアイテムが作れる盛りだくさんの内容を詰めました。

まさにずっと憧れていた刺繍の扉を開けるようなキットをお届けします!

Craftie Home Boxは1回からのお試し購入も大歓迎です♪お申し込みはお申し込みは【4月30日(火)15:00】まで。お見逃しなく!※受付状況により、早く締め切る場合がございます。

Craftie Home Boxを見る

ライター

Craftie Style編集部
Craftie Style編集部
アート・クラフト・ものづくりを通して、日々の暮らしの楽しさ、彩り、新たなコミュニティを生み出すこと。そのきっかけを作るためのコンテンツをお届けします。